【「鷹の爪」吉田くんが聞く】円安って結局、いいやつなんですか悪いやつなんですか?
「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します! 大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。 【この記事の画像を見る】 本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問に、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「円安と円高」です。 ● 円安? 円が安いなら「ビックバック」だって安くなるはずじゃないですか。ぼくはだまされませんよ 吉田くん(以下、吉田):な、なんでこんなことにっ! そんな馬鹿なっ!! アカツキ先輩(以下、アカツキ):どうした吉田、そんなに顔色変えて。 吉田:どうしたも九段下もないですよ。島根県民にとって幻の食べ物といわれているバクバクドナルド、いわゆるバックのハンバーガーがまた値上げしたんですよっ。 アカツキ:バックが幻? あの店はどこにだってあるじゃないか。 吉田:何を言ってるんですか。ぼくの故郷の島根県にはたったの8店舗しかなくて、神様を見たことはあってもバックは見たことがない人の方が多いという幻の店なんですよ。もしバックを食べることができたら一族全員が10年間幸せに過ごせるという伝説があるのに、こんなに値上がりしたら島根県民は不幸のどん底ですよ! アカツキ:10年も幸せになれるなら少しぐらいの値上げは受け入れてもいい気がするが。確かに、円安の影響でいろんなモノが値上がりしたな。 吉田:円安? 円が安いなら「ビックバック」だって安くなるはずじゃないですか。ぼくはだまされませんよ。 ● 円安というのは、日本の通貨である円の価値が、外国の通貨に対して下がること アカツキ:円安というのは、日本の通貨である円の価値が、外国の通貨に対して下がることだ。たとえば1ドル=100円なら、1ドルと100円を交換できる。それが1ドル=110円になると、1ドルを手に入れるのにいくらかかる? 吉田:110円ですね。あ、値上がりしてます。 アカツキ:そうだ。ドルが値上がりする、逆に言うと円の価値が低くなるから「円安」というんだ。逆に1ドル=100円から90円になれば、円の価値が高くなるから「円高」ということになる。2020年ごろには1ドル=106円前後だったのが、2024年前半は主に150~160円で推移したから、ドルがざっと1.5倍に値上がりした計算だ。ハンバーガーの原料である小麦や牛肉は主に海外から買っているから、材料費が上がってしまったんだ。 吉田:なんでそんなに円が安くなったんですか。お札に印刷されているおじさんやおばさんが地味すぎるからですか。 アカツキ:渋沢栄一や津田梅子に謝れ。円安が進んだ原因として大きいのは、米国の方が日本より金利が高かったことだ。世界中で株や不動産などに投資されているお金は、100兆ドル以上と言われていて、このお金の動きが為替を大きく動かしている。投資家は一般的に金利が高い国でお金を運用する方が儲かりやすくて、目安となる国債の金利は一時期、アメリカの方が日本より3%以上も高かった。だから米国で投資するため円を売ってドルに換える動きが広がったんだ。その後、日本の金利が上がったことでやや円高が進んだが、まだまだ金利差は大きい。