新NISAで運用する「年金繰り上げ投資」は本当に儲かるのか?「お金のプロ」も驚いた「意外な検証結果」
65歳時点での運用資産は…
ここからは、シミュレーションの過程を詳細に紹介します。 65歳から受給する場合の年間の年金受給額は1,728,000円です。60歳に繰り上げた場合は、24%減額されますので、年間の年金受給額は1,313,280円です。どちらも額面の金額であり、ここから税金と社会保険料が引かれます。社会保険料について、60~74歳までは国民健康保険料を支払い、75歳からは後期高齢者医療制度の保険料を支払います。また、65歳以降は、国民健康保険料の介護分がなくなり、別途、介護保険料が発生します。国民健康保険料は市区町村によって異なりますので、2024年度の東京都新宿区の保険料で計算しました。 その結果、60歳繰り上げ受給、および65歳受給、それぞれの場合の、年金手取り額は、年齢に応じて【図1】のようになります。 60歳繰り上げで受給した年金を、年間利回り1.65%で毎年積み立てていくと、5年後の65歳時点で、運用資産は約622万円になります。65歳以降は、この622万円を利回り1.65%で運用しながら、少しずつ取り崩していきます。 取り崩すべき金額は、65歳受給の手取り額と、60歳繰り上げの手取り額の差額です。65歳から74歳までは年間約30万3千円、75歳以降は年間約30万7千円を取り崩します。すると、ちょうど90歳になったとき、全額取り崩し、運用資産はゼロになります。60歳から90歳までの年金の運用資産額は次のグラフのようになります。
60歳繰り上げ+新NISA投資 vs 70歳繰り下げ受給
次に、パターン(2)「60歳繰り上げ+新NISA投資 vs 70歳繰り下げ受給」を確認します。 前提条件はパターン(1)とほぼ同じですが、異なる部分だけ記載しておきます。 【パターン(2)の前提条件(パターン(1)と異なる部分のみ)】 ・70歳で年金の新規投資は終了、その後も同じ利回りで運用を続ける ・70歳以降は、受給する年金と、運用資産の取り崩しで生活する この前提でシミュレーションをした結果、損益分岐点の利回りは1.99%となりました。こちらもそこそこ低い利回りです。 パターン(1)とシミュレーションの過程は同じです。 60歳繰り上げ受給、および70歳繰り下げ受給、それぞれの場合の、年金手取り額は、年齢に応じて次の【図3】のようになります。 60歳繰り上げで受給した年金を、年間利回り1.99%で毎年積み立てていくと、10年後の70歳時点で、運用資産は約1,354万円になります。70歳以降は、この1,354万円を利回り1.99%で運用しながら、少しずつ取り崩します。 取り崩すべき金額は、70歳繰り下げ受給の手取り額と、60歳繰り上げの手取り額の差額です。70歳から74歳までは年間約81万4千円、75歳以降は年間約83万3千円を取り崩します。資産額は以下【図4】のグラフのようになります。