村上春樹 子どもが読む本に親は口出ししないほうが良い!?「読書にとって大事なのは、まず雑食です」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。7月28日(日)の放送は「村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます3~」をオンエア。 当番組では、いつもはリクエストやお便りを紹介していませんが、毎回放送後に村上DJ宛にリスナーからたくさんのメッセージが届きます。今回はその中から、いくつかのメッセージを村上DJが選び、音楽とともに紹介しました。 この記事では、前半2曲について語ったパートを紹介します。
◆Janet Seidel「Deep Purple」
音楽をかけます。ジャネット・サイデルの歌う「ディープ・パープル」、この曲にもウクレレがフィーチャーされています。 東京都48歳女性 ししょこさんからのお便りです。 「村上さんこんばんは。中学3年生の頃から村上春樹作品を愛読しています。そんな私の1人息子が中学3年生になりました。そろそろ村上春樹作品を読み出す頃では?とソワソワしているのですが、なかなか手に取りません。本人も時々、そろそろ読もうかなと言うのですが。彼は今は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読んでいて、その前はアンドレ・ジッドの『狭き門』を読んでいました。読書好きには育ったのですが、家の本棚にある本は、いつでもいいやという気になるようです。 村上さんは、もし自分が15歳だったら何を読んだらいいと思いますか? ご自分の作品でも、それ以外でも。私は「海辺のカフカ」か「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」がよいと思いますが、母のススメは逆効果にしかならない気がするのでだまっています」 そうですね。おっしゃるように、口出しはなさらないほうがいいように思います。僕も子どもの頃から本を読みまくっていましたが、親とか先生の勧める本なんて目もくれなかったと思いますよ。というか、うちの親は最初から何も言わず、好きなものを好きなだけ読ませてくれていましたが。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と『狭き門』、ナイスな組み合わせじゃないですか。放っておいても大丈夫です。僕の本なんて読まなくたって、立派な社会人になれます。読書にとって大事なのは、まず雑食です。雑食状態を通り抜けて、初めて自分の心が何を求めているかが見えてきます。
◆Xavier Cugat「The Guns Of Navarone」
曲をかけます。ザビア・クガート楽団の演奏する「ナヴァロンの要塞」のテーマ。「ナヴァロンの要塞」、面白い映画でしたね。子どもの頃に観ました。 僕は一時期、「ナヴァロン洋裁店」という洋裁の店をやりたかったんですが、考えてみたら洋裁なんてできないし、洋裁にまったく興味もないし、もちろんあきらめました。興味のある方。トライしてみてください。 (TOKYO FM「村上RADIO~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます3~」2024年7月28日(日)放送より)