トランプ氏、元SEC委員長のジェイ・クレイトン氏を司法省支部トップに指名──FTX元CEOを起訴した支部
ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領は、元証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトン(Jay Clayton)氏を自身の政権下でニューヨーク南部地区連邦検事に任命し、同州の司法省支部のトップに据える意向を示した。 クレイトン氏は2020年12月にSECを退任して以来、多数の暗号資産(仮想通貨)企業にアドバイスを行ってきた。在任中は暗号資産業界の広範な領域に対する管轄権を主張したSECのDAOレポート(DAO Report)の作成を監督した。また、有名な発言として、ほとんどのICO(新規暗号資産公開)は証券であるとの見解を示した。この見解は後に、後任であり現SEC委員長のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏にも引き継がれている。 トランプ氏は、「(クレイトン氏は)非常に尊敬される事業リーダー、顧問、そして公僕だ」と述べた。 クレイトン氏がSECで行った最後の行動の一つは、SECのリップル・ラボ(Ripple Labs)に対する訴訟を承認したことだった。この訴訟は現在、連邦控訴裁判所システムを通じて紆余曲折を経て進行している。昨年には、裁判官はリップル・ラボが取引所を通じて個人投資家がエックス・アール・ピー(XRP)を利用できるようにしたことは連邦証券法違反ではないと判断していた。クレイトン氏は現在、様々な顧問職と並行して、法律事務所サリバン・アンド・クロムウェル(Sullivan and Cromwell)のシニア政策アドバイザーを務めている。 クレイトン氏にコメント要請を行ったが、回答はまだない。 現在のダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)連邦検事の下、司法省のニューヨーク南部地区支部は金融および企業の不正行為に関与した多数の人物を起訴した。その中には、昨年注目を集めたFTX創設者サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏の裁判が含まれる。バンクマン-フリード氏は7つの詐欺および共謀罪で有罪判決を受け、25年の刑を言い渡された。 トランプ氏は以前にも、当時の連邦検事ジェフリー・バーマン(Geoffrey Berman)氏と交代させるためにクレイトン氏を指名しようとしたことがある。 再選から1週間で、前大統領であり次期大統領でもあるトランプ氏は、閣僚やその他の職に指名する予定の人物を多数発表している。その中には、保健福祉省にロバート・F・ケネディ・ジュニア(Robert F. Kennedy Jr.)氏、司法長官にマット・ゲーツ(Matt Gaetz)下院議員、国務長官にマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員、国家情報長官にタルシ・ガバード(Tulsi Gabbard)元下院議員などが含まれる。 トランプ氏はまた、イーロン・マスク(Elon Musk)氏とビベック・ラマスワミー(Vivek Ramaswamy)氏を政府効率化省の共同長官に指名したが、この組織を実際の省庁として設立するには議会の承認が必要であり、そうでなければ何らかの諮問委員会として設置されることになる。 |翻訳・編集:林理南|画像:ジェイ・クレイトン氏(CoinDesk archives)|原文:Trump Names Former SEC Chair Jay Clayton to DOJ Office, the Same Office That Prosecuted SBF
CoinDesk Japan 編集部