【速報】島根原発2号機、13年ぶりに営業運転再開 福島第1原発と同じ沸騰水型、女川原発に続く2基目
中国電力が10日、約13年ぶりに島根原発2号機(松江市鹿島町片句、出力82万キロワット)の営業運転を再開した。2011年3月に事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型で、同型の営業運転再開は東北電力女川原発2号機(宮城県)に続いて2基目。福島事故後、国内で再稼働した原発は8原発14基となった。 【紙面でたどる】島根原発の歴史(1966~2022年)
中電は10日午前から、設備や機器の温度、圧力、流量などのデータに異常がないかどうかを最終確認する「総合負荷性能検査」を実施。原子力規制委員会が正常に稼働していることを確認し、午後3時10分に検査や確認を終えたことを示す「使用前確認証」を交付し、営業運転に移行した。 中電の中川賢剛社長は「安全確保を大前提に、引き続き緊張感を持って安全運転の継続に努めるとともに、安全性向上への歩みを着実に進めていく」とのコメントを出した。 原発は規制委の規則に基づき、13カ月以内の間隔で運転を止め、定期検査を実施する必要がある。中電は次回の検査期間を6カ月程度と想定しており、停止時にしかできないテロ対策の「特定重大事故等対処施設」の工事を実施する予定。新規制基準で設置が義務付けられており、期限の28年8月29日までに間に合わなければ、規制委が運転停止命令を出す。 2号機の新規制基準適合性審査は、島根原発の南約2キロを走る「宍道断層」の長さ評価が申請時の全長約22キロから約39キロに延びるなど合格まで7年9カ月を要した。基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)を820ガルに設定し、海抜15メートルの防波壁を建設。電源や冷却手段も多様化し、原発全体の安全対策工事費は現時点で約9千億円に上り、2号機は昨年10月28日に工事を終えた。12月7日に再稼働し、23日に発送電を開始。徐々に上げた出力が27日に定格に達し、出力一定の調整運転を続けてきた。
当初は昨年8月の再稼働を目指したが、23年12月に原発構内で起きた作業員の死亡事故で、安全対策工事に遅れが生じた影響などで昨年12月に延期していた。 (2025年1月10日 18:52 記事更新)