【毎日書評】なぜか買いたくなる!接客が得意な人がやっていること・魔法のことばとは?
『売り込みが苦手な人のための 引き出し接客』(鈴木夏香 著、ぱる出版)は、「自分の商品を売るのが苦手」「お客さまと雑談はできるけど、セールスができない」「低単価だし、お試しのお客さまばかりで疲れている」など、接客に関する悩みを抱えている方に向けて書かれているそう。 しかし、そもそもタイトルにある「引き出し接客」とはどのようなものなのでしょうか? お客様への質問により真のニーズを引き出すことが、売り上げに結びつきます。極端な話、商品そのものは問題ではありません。それよりも、お客さまの悩みや目指す未来を深いレベルで引き出してこそ、お客さまが「買いたい」と言ってくれるのです。(「はじめに」より) しかも、それは決して難しいテクニックは必要ないようです。ただ、お客さまに対して心からの興味を持ち、深く質問していくだけでいいのというのです。事実、百貨店勤務を経て「自宅サロン」を開業したという著者も、「引き出し接客」によって月商100万円を実現したのだといいます。 当初、サロン経営は思うようにいかなかったものの、「大切なのは技術ではなく、接客(お客さまとのコミュニケーションだ)」ということに気づいてから流れが大きく変わったというのです。 お客さまにどんどん深掘り質問をしていったのです。するとお客さまの表情がみるみる変わっていきました。 質問をするとお客さまがイキイキと話をしてくれる。話の中で、お客さまの真の悩みや目指す未来が描かれていきます。(「はじめに」より) なるほどそうすれば、接客に対する苦手意識を克服できるかもしれません。そのために覚えておきたいことを、第2章「引き出し接客は、お客さまの未来が叶う究極のカウンセリング!」のなかから抜き出してみたいと思います。
お客さまが喜んでセールスも9割決まる、質問の重要性
引き出し接客で重要なのは、お客さまに興味を持って積極的に質問すること。 とはいえ、わかっていても抵抗感があるという方も少なくないでしょう。著者によれば、とくに多いのが“察しちゃう文化”なのだとか。お客さまのちょっとした仕草や目線の動きを見て先回りしてしまい、逆になにも聞けなくなってしまうというのです。 そんな悩みを解決する、魔法の言葉があります。 「私はお客さまのことをもっと知りたいので、質問してもいいですか」 こう尋ねると、お客さまも納得されて、スムーズに質問できるようになります。 今の時代、自分に興味を持ってもらえる機会はすごく少なくなっています。だから、質問自体とても嬉しいものなのです。(58~59ページより) お客さまの時間を奪ってしまうのではないかと思われるかもしれませんが、たくさん質問したとしても、かかる時間は10~15分程度。「10分ほどお時間をいただけますか」などとあらかじめ断っておけば、お客さまもさほど気にされないそうです。 また、質問はお客さまのためだけでなく、未来のお客さまのためでもあるといいます。 来店されたお客様から“わざわざ足を運んでくださった理由”を聞くことは、集客のための究極のリサーチでもあるわけです。ポイントは、来店された理由などをただ形式的に聞くだけではなく、「似たようなサービスをしている他店ではなく、なぜ当店を選んでいただけたのですか」というように、本音に近づくために一歩踏み込んでみること。 貴重な情報をきちんと掘り出せるのか、それともわからずに終わらせてしまうか、すべては質問次第。 セールスは、直前のヒアリングで9割決まると言われています。そのくらい、質問は重要なのです。(60ページより) ただし、ひとつだけ大切なことがあるようです。それは、質問するあいだ、こちらの商品・サービスには触れないこと。質問する際にはあくまで、お客様がいまつらいと感じていること・悩んでいることを純粋に聞くほうがうまくいくからです。 もちろん、売りたい商品・サービスに目を向けさせることも重要ですが、それを意識しすぎるとヒアリングは偏ってしまいがち。それが不信感につながるケースもあるだけに、まずは質問を通じてお客さまと悩みを共有すべきだということです。 そして、それが終わったあと、「私にお手伝いできることがあればうれしいです」と、商品やサービスの説明へ進むのです。 なお、このときは、「自分が持っているのは解決策のひとつ」くらいのスタンスで大丈夫だそうです。解決できそうにない場合は、正直に「私ではお客に立てません」と断ることもお客さまのためになるもの。できること・できないことをはっきり伝えることで、逆に信頼を得られることもあるわけです。(58ページより)