「部下がぐんぐん成長する上司」がしている質問、能力を最大限に引き出す「気づき」の力
■「気づき」は最高の能力を発揮するために役立つ エグゼクティブコーチングのパイオニアであるジョン・ウィットモアは、著書の中で「気づき」が最高の能力を発揮するために役立つことだと強調している。気づきとは、ひらめきを得ることだ。 ひらめきはこれまで見落としていた物事や自分の周りで起きていることがヒントとなり、多角的な質問によって育まれる。したがってリーダーに必要なことは、気づき、やる気、創造性を引き出す質問を見つけることにある。
とはいえ、部下に質問を投げかければすぐに完璧な答えが返ってくるわけではない。部下の頭の奥底にはアイデアのヒントがあるものの、的確に表現できないことが多い。そのため、リーダーには部下の潜在力を開花させる投げかけが必要なのだ。 Goal(目標)、Reality(現状)、Resource(資源)、Options(選択肢)、Will(意志)の頭文字を並べたGROWモデルは、このステップで質問を進めることにより、目標達成につながる具体的なプロセスにつなげることが可能となる。
ステップ1 【G】 Goal(目標を明確にする) ステップ1目標を実行レベルに落とし込み、明確にすることだ。目標とは実体を伴った夢である(1)。より具体的で鮮明にイメージできるようにならなければ行動に移すことはできない(2)。そのためリーダーは、具体的、かつ肯定的で実現可能なプロセスを検討できるよう部下に促すことがポイントとなる。 例えば、売り上げ目標はただの数字だ。そのため、数字を表明しただけでは行動に移せない。数字が出来上がるプロセスが具体化できて初めて現実味を帯びるのだ。いかに具体的な目標を設計できるのかがカギになる。
【質問例】 ・具体的に何を達成したいと思いますか? ・どのような状態になると目標達成したと判断できますか? ■進める前に「現在地」を明らかにする ステップ2 【R】 Reality(現状・現実の把握) ステップ2では現状・現実を具体的に理解するため、どこまでできていて、何ができていないのか、現在地を明らかにする必要がある。リーダーは部下が客観的に現実(状況や環境)を探り出せるような質問を心がけよう。