オリエント・エクスプレス、2025年春に運行再開…「豪華な体験」の需要が増加(海外)
オリエント・エクスプレスが久しぶりに新たな運行を開始する。イタリアを走る高級寝台列車を準備中だ。 【全画像をみる】オリエント・エクスプレス、2025年春に運行再開…「豪華な体験」の需要が増加 この新型列車「ラ・ドルチェ・ヴィータ」は、2025年春に運行開始予定だ。 復活の背景として、リッチで上昇志向のある消費者が、「モノ」より贅沢な旅行を好むようになっていることが挙げられる。 「ある人の損失は、別の人の利益」という古いことわざがある。これは産業界にも当てはまるようだ。 不安定な経済状況、消費意欲の低下、中国などの主要市場における景気減速により、ラグジュアリーブランドは苦戦を強いられている。その一方で、別のラグジュアリー分野が活況を呈している。旅行業界だ。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、ラグジュアリーブランドの需要が過去最高の水準に迫るなか、高級旅行は停滞していた。それが今では、リッチで上昇志向の消費者が、モノより体験にお金を使うことを好むようになり、旅行需要は拡大の一途をたどっている。 高級品に関する情報を提供する企業アジリティー・リサーチ・アンド・ストラテジー(Agility Research&Strategy)のマネージングディレクター、アムリタ・バンタ(Amrita Banta)はBusiness Insiderに、「人々は海外へ出かけており、提供される体験も大幅に増えている」と語った。また同氏によると、中国の超富裕層のあいだで旅行熱が高まっており、シンガポール、タイ、日本など、他国での消費額を増やしているという。 旅行分野の好調は、今後も続くと予想される。マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)の分析によると、世界の高級レジャー・ホスピタリティへの支出額は、2028年、3910億ドル(約59兆8770億円)に達する見通しだ。これは、2023年と比べると10%増加になる。 高級旅行代理店クラフト・トラベル(Craft Travel)の創業者ジュリア・カーター(Julia Carter)は、富裕層の旅行者にとって、これまで以上に優先事項になっているのが「ユニークな体験」だと話す。 「人々は、自分好みにカスタマイズされたものを求めている」とカーターは言う。 「画一的な体験は望んでいない。すべてがAI(人工知能)で生成されたように感じられる場所には行きたくないのだ」 このような消費習慣の変化は、ラグジュアリーブランドにとっては痛手かもしれない。だが、かつて廃止された列車サービス、オリエント・エクスプレスにとっては、復活を遂げる格好のチャンスだ。