新型レクサスLBXは“高級”であるのか? 新しいコンパクトSUVの価値を考える
クール&サイレントで速い
LBXのパワーユニットは1.5リッター直列3気筒エンジン+電気モーターのハイブリッドのみである。エンジンこそヤリスと同じながら、組み合わされる電気モーターはグッと強力になっている。ヤリスのフロント・モーターが80psと141Nmであるのに対して、LBXのそれは94psと185Nmを生み出す。車重がヤリス・クロス比で100kgほど重いのは、ボディ剛性を得るための補強が施されているのと、遮音材を増やしているためだと思われる。 運転感覚はSUVというよりホットハッチに近い。ただし、エンジンではなくモーター駆動が印象的で、基礎体温は低め、という印象を受ける。このクラスとしては、クール&サイレントで速い。 試乗車はE-Fourと呼ばれる4WDだけれど、スクリーンに表示されるエネルギーの流れを見ている限り、ドライ路面ではリヤの電気モーターの出番はない。前述したように、フロントの電気モーターのトルクは185Nmもある。アクセルを深々と踏み込むと、3気筒エンジンは3000rpm以上でぶおーっと叫ぶ。その叫びも、レクサスいうところの「源流対策」による遮音の効果だろう、記憶のなかのヤリス・クロスに較べるとグッと静かに抑えられている。エンジン・マウントが異なるためか、振動はよく抑えられており、状況に応じてエンジンは始動と休止を常時繰り返しているのに、タコメーターの動きを見ていないと、感知できないほど、静かでスムーズなのだ。 225/55R18という、ファットでビッグなタイヤを履いていることもあって、乗り心地は50km/h以下の低速だと、バネ下がやや重たい感じはする。ダンピングはフワフワではなくて、よく引き締められており、これぞヨーロッパ仕立て。ということなのかもしれない。50km/hを超えると俄然、スムーズになり、タイヤの上下動が気にならなくなるのも、平均速度の高いヨーロッパ戦略車らしいところだ。