「その時、私は何をしていたか」はっきり覚えている特別な日のこと 日航機墜落事故から「玉音放送」まで
坂田:あー、なるほど。 神戸:見ながらドキドキする気持ちが、日常の時間の記憶とともに、頭の中にあるんじゃないか。僕らが体験していない時代を考えると、前の東京オリンピック(1964年)、開会式のことは年上の人からよく聞きました。それから、「浅間山荘事件」(1972年)。 坂田:あ、鉄球。神戸:過激派が籠城した山荘を、鉄球が破壊していく様子が、ずっとライブ中継されていました。 神戸:もっとさかのぼれば、終戦の「玉音放送」(1945年)。 坂田:ラジオ放送ですね。 神戸:はい。まもなく敗戦から79年ですね。さらに、真珠湾攻撃を伝える臨時放送(1941年)。これは聞いたことがあるでしょう。 橋本:はい、あります。 神戸:記憶に残ること。おそらく、「感情を同時体験している」という意識があるんじゃないかな、と考えています。 坂田:「同時」ということがポイントですね。 神戸:そうです。誰に言っても通じる体験とは、「その情報をライブで同時に聞いている」ということなんです。日本放送協会(NHK)のラジオ放送が始まったのは1925年。それからのほぼ100年は、今までの人類の歴史とは違う、「感情を同時体験できる環境になった」と言ってもいいのかなと思います。目の前で起きている衝撃的なこと。その他の地域では翌日以降に知ることが多かったと思うのです。それを同時にみんなが「どうなってしまうんだろう…」と思って聞いていく世界は、たったこの100年しかない。この前後では、人間の感覚は違うんじゃないかなという気がします。映像だけではなく、音声も含めた「放送」が人間の感覚に大きな変化をもたらしたのが、この100年の大きな出来事だったんじゃないか。考えてみたら、オリンピックの中継だって同じですよね。感情の同時体験だから興奮し、盛り上がる。これは恐怖感ではなく、ワクワク、ドキドキ、ハラハラですが。そういう時代に生きているんだなあと、日航機事故の記事を見ながら考えていたんです。
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