''ごみ''の山を''寄付''の山に。いわき市で生まれた「古着を燃やさないまちづくり」
いくつもの出口を用意する。ザ・ピープルの古着リサイクル
吉田さんに連れられ、最初に訪れたのは、いわき市・小名浜エリアにある2棟のプレハブ。ここがザ・ピープルの重要な活動拠点の1つだという。
── ピープルの活動を伺っていて驚いたのは、毎日何百kgと回収する古着にさまざまな用途を見つけ、地域内で古着が循環する仕組みをつくっていることです。主に、どのような形でリサイクルをしているのでしょうか? 回収した古着を倉庫で仕分けしたあと、状態のいいものは私たちが運営している古着のリユースショップで販売をしているんです。働いてくれるのは有償ボランティアのみなさん。古着の購入はもちろん、ここで洋服のお直しをすることもできるんです。 ── お店に伺ったときも、ご高齢のかたが何組かお買い物に来られていたり、「ズボンのチャックが壊れて」とお直しの相談に来られていましたよね。平日の午前中から賑わっていて、とても印象的でした。 ありがたいことに、お客さんは結構来てくださるんですよ。ここにお客さんとして来ているうちに、働いてくれるようになった人も多いんです。
── 仲間集めの場所にもなっているんですね。ただ、このリユースショップはあくまでも古着の出口の1つですよね。他にはどんなリサイクルが行われているんでしょう。 その話をするために、古着の回収倉庫を見てほしいんです。一緒に見に行きましょうか。
移動してきたのは、ピープルが持つ古着の回収倉庫。廃業した倉庫などを借り、市内に3箇所の倉庫を持っているという。回収した古着を倉庫に保管し、仕分けをして、さまざまなリサイクル手段へと古着を預けていく。 ── 圧巻の量ですね。これがすべて、市内で集められた古着ですか? 市外のものもありますよ。ピープルは古着の回収ボックスをいわき市内に13箇所、ほか県内に8箇所設置していて、平日はほぼ毎日、専用の車で回って回収しているんです。 回収後、倉庫に保管した古着を、有償ボランティアのみなさんで仕分けをしていただきます。 ── ここに集められた古着たちは、どのようにリサイクルされるのでしょう? まず、倉庫でいくつかのジャンルに仕分けをします。状態が綺麗で、ニーズとして地元の方にも買ってもらえそうだなと思う服は私たちの運営するリユースショップへ。 そのほかの綺麗なものは海外支援物資や古着マーケット、災害時のための支援物資へ。布として使えるものは、リメイク古着の素材にします。繊維として再生する必要があるものは、繊維業者さんへお預けして、清掃用のウエス(雑巾)や、繊維に戻して自動車内装材などの原料になる「反毛(はんもう)」にしてもらうんです。 最初こそ、集まってきた古着の半分以上はこの「反毛」にしていました。ただ、私たちはこれを最後の手段だと思っていて。せっかく布として使えるものや、洋服としてまだ使えるものを全部、繊維にしてしまうのはもったいない。使えるものは使うようにしていきたいなと思って。