''ごみ''の山を''寄付''の山に。いわき市で生まれた「古着を燃やさないまちづくり」
── ただリユース販売をする、全て原料に戻す、ということではなくて、集まった洋服の状態をみて当てはまる形で再活用をしているんですね。 ええ。こうしてたくさんの「古着の出口」ができるまで、30年ほどかかりました。このリサイクルの仕組みと、ボランティアのみなさんのおかげで、いわきは少しずつ「古着を燃やさない町」へ近づいているなと思います。
古着はごみじゃない。「寄付」の意識が活動を支える
── いま、団体は何名くらいの人数で行っているんでしょうか? スタッフのほかに「ボランティア登録」というのをしてもらって関わってもらうんですが、一番多い時期だと全体で40~50人くらいの人がいました。いまはリユースショップと回収担当、仕分け担当であわせて25名くらいですね。 最初は有志の市民が集まってはじめたことでしたから、いろんな時代がありました。回収した古着の仕分けをするのが私ひとり、という時代もあったんです。 ── そこから、年間250トンを回収するほどの規模に成長したんですね。何か団体がうまくいくようになるきっかけはあったんでしょうか? 活動をはじめて10年くらい経ったころ、ボランティアを有償ボランティアの形に変えたんです。少ない金額ではあったんですが、そのことで関わってくれる人の幅が広がりました。 有償ボランティアを実現できたのは、「古着のリユース販売」という自主事業をベースとして持っていたからだと思います。自分達が動くためのお金を、自分達で少しでも作ることができていた。自分達で自立して活動を続けるために、必要な事業だったんだと思います。 ── しかし、なぜここまでリサイクル可能な古着が回収できるのでしょう? 古着を「資源ごみ」としてではなく、「寄付」として集めているからだと思います。そう呼びかけていると、市民のみなさんも綺麗な状態のものを預けてくださる。 回収ボックスには、古着を出してもらう際の細かい注意事項と、「おかえりなさい古着さん」というメッセージを書いています。濡れた状態の古着を出さないとか、透明な袋に入れて口を縛ってあるかとか、細かいお願い事をみなさん守ってくれる。