【毎日書評】めまぐるしい時代の必須スキル「クエスチョン・シンキング」とは?
世界が劇的に変化し、社会問題、経済問題、健康問題、環境問題への対応手段が求められるなか、その対応手段としてこれまで以上に重要視されているのがクエスチョン・シンキング(QT)である──。 『すべては「前向き質問」でうまくいく』(マリリーG.アダムス 著、鈴木義幸 監修、中西真雄美 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者はそう述べています。 インターネットを筆頭とするデジタルメディアを通じ、私たちは多種多様な情報に攻め立てられています。そんな状況下で重要なのは、次々と入ってくる情報に疑問を持ち、厳しい目で評価する能力。その部分が欠けていると、リーダーとして、人間として、不安や不確実性、不調和が悪化してしまうからです。 つまりQTスキルは、再起力や適応力、思慮深さや希望とともに、さまざまな荒波を乗り切る能力を与えてくれるということ。 QTは、私たちの現在の考え方を観察し、評価するためのスキルを提供してくれます。そして、より充実した経験や成果を達成するための新しい質問が設計できるよう、私たちを導いてくれます。 QTとは、「反射的」にではなく、「対象にしっかり意識を向けて」考えることです。 QTを実践すれば、プレッシャーのかかる状況でもより生産的な結果が出せることでしょう。一方で、プライベートでも職場でも非常に重要な、建設的な施工ができる能力を構築できるようになります。(「まえがき ─クエスチョン・シンキングへの招待─」より) 逆にいえば、こうしたスキルがなければ、私たちのさまざまな志は単なる願望や夢にとどまってしまうかもしれません。だからこそ、コーチやチームリーダー、部長、CEOといったチェンジエージェント(変革推進者)の話し合いにQTメソッドは不可欠だというのです。 そうした考え方に基づく本書は、ベンという主人公を軸としたストーリーを通して、QTの実用的な力を解説した“ビジネス・フィクション”。 そのストーリーは実際に読んでいただくとして、ここでは巻末付録「QTツール クエスチョン・シンキングのためのユーザーガイド」のなかから「質問の力を仕事に活かす」という項目を抜き出してみたいと思います。