「いったい何に似せたんだろう?」素朴なルアー“スピナー”はなぜ釣れる!? フィッシュイーターを魅了する秘密とは?
●海・川をとわず多彩な魚を狙える万能選手
VAGUE:スピナーより小さな魚が群れになって追いかけてくることがよくあります。 谷中さん:ブレードの回転そのものに集魚効果があるようなんです。捕食本能だけでなく、自分たちの仲間と思わせる要素があるのかもしれません。
VAGUE:“渓流用の鱒族系ルアー”というイメージがあるスピナーですが、AR-Sを使い同じ場所でウグイ、セイゴ、バスが釣れて驚いたことがあります。スピナーで狙える魚種は? 谷中さん:ソルトウォーターでは、メバル、サバ、カマス、メッキ。フレッシュウォーターでは、カワムツ、ニゴイ、ハス、ブルーギル、チチブなどに実績があります。 とくにAR-Sはルアー全体のシルエットが小さくて投げやすいですが、本山さんが「Sブレード」と名づけた回転ブレードのおかげでアピール効果が高いんです。フィッシュイーターなら何でも釣れると思います。
●上流に投げて巻くのがスピナーの基本
VAGUE:リールを一定の速度で巻き続ける「ただ巻き」でも十分に釣れてしまうスピナー。使い方のコツを教えて下さい。 谷中さん:流れがあるポイントの場合は上流に向かって投げる“アップ”か、斜め上流方向に投げ川を横切らせる“アップクロス”が基本です。巻く速度は穏やかな川では水に漂わせるイメージでゆっくり、水流が強い水域では速めが効果的なことも多いです。 VAGUE:スピナーには様々な重さがありますが、使い分けのヒントは? 谷中さん:一般的な渓流で使用する場合は3.5gクラス。水深があり流れの強いポイントでは浮き上がりを防ぐためやや重い4.5gを選んでください。川幅が広く遠投したい場合は6g、小規模で浅い渓流では2.1gや1.6gの軽いモデルが使いやすいでしょう。
●スピナーのカラーはどう使い分ける?
VAGUE:スピナーで最低限揃えておきたいカラーバリエーションは? 谷中さん:本山さんが多用していたのは、ブレードとボディに赤いドットが入ったシルバーブレードと、同じくドット入りのゴールドブレードのモデル。アピール度を落としてより自然に誘いたい時は、ドット無しのカラーにチェンジしていました。 VAGUE:曇りに利くゴールド系や、オールラウンドのシルバー系は鉄板なんですね。 谷中さん:そうですね。その2つをベースに、明滅でアピールしたい場合はドットあり、落としたい場合はドット無しを選ぶのが基本。最初はこの4つを揃えておけば、魚に出会える確率はぐっと高まるはずです。 ***** 本山博之氏は惜しくも6年前に他界しましたが、AR-Sという進化したスピナーを残してくれました。「いまひとつ使い方がわからない」というアングラーにこそスピナーの不思議な魅力を体験させてくれます。
杉山元洋