40代独り身で貯蓄はゼロ……結婚する気もないし、年金をもらいつつ定年後も「働き続ければ」どうにかなりますよね?
40代で独り身、貯蓄ゼロという状況に不安を感じる方は多いかもしれません。結婚する気がなく、将来的には年金を受け取りながら定年後も働き続けるつもりだとしても、果たしてこのままで大丈夫なのかは気になるところでしょう。 本記事では、40代の平均貯蓄額を確認しつつ、働き続けることで生活は安定するのか考えていきます。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
40代の平均貯蓄額
金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、40代の単身世帯における平均的な金融資産保有額は、金融資産がない世帯も含めて559万円となっています。 ■40代の貯蓄事情 同調査によれば、40代の金融資産保有額別の割合は表1の通りでした。 表1
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成 表1より、40代の単身世帯では、金融資産保有額が100万円未満の割合が全体の50%以上を占めていることが分かります。そのため今回の事例のように、「40代独り身で貯蓄ゼロ」というケースも珍しいことではないと考えられます。ただし、1000万円以上の金融資産を保有している方も17.0%いることから、貯蓄の意識や実践に差があることも分かるでしょう。
65歳から90歳までの生活費試算
65歳で定年退職し、80歳までパートとして月に5万円の収入がある場合、90歳まで1人で生活するために必要な金額を計算してみましょう。 前提条件は次の通りです。なお、月々の実収入および消費支出は総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」における65歳以上の単身無職世帯の収支を参照しています。 (1)65歳から90歳までの25年間1人で生活 (2)月々の消費支出:14万5430円 (3)月々の実収入(年金など):12万6905円 (4)65歳から80歳までパートで月5万円の追加収入がある (5)80歳から90歳までパート収入はなくなる ■65歳から80歳まで この15年間に関しては、パートでの収入が月5万円加わるため、実収入は以下のように計算されます。 月々の収入(年金など+パート収入):12万6905円+5万円=17万6905円 月々の収支:実収入(17万6905円)-消費支出(14万5430円)=3万1475円 この15年間は、収入が支出を上回るため、余剰分として貯蓄に回せるでしょう。 月々の余剰額:3万1475円 15年間で貯蓄に回せる金額:3万1475円×12ヶ月×15年=566万5500円 つまり、65歳から80歳の15年間で566万5500円の貯蓄ができる計算です。 ■80歳から90歳まで 80歳以降はパートの収入がなくなるため、月々の収支は下記の通り赤字になるでしょう。 月々の実収入(年金など):12万6905円 月々の収支:実収入(12万6905円)-消費支出(14万5430円)=-1万8525円 この不足額は、10年間で次のように積み上がります。 年間の不足額:1万8525円×12ヶ月=22万2300円 10年間の不足額:22万2300円×10年=222万3000円 80歳から90歳までの10年間に不足する金額は、222万3000円となる計算です。 ■65歳から90歳までの収支の総計 65歳から80歳までの15年間で貯まる余剰金は566万5500円、80歳から90歳までの10年間で不足する金額は222万3000円です。 566万5500円(余剰金)-222万3000円(不足額)=344万2500円 つまり、65歳で定年退職し、80歳までパートとして月5万円の収入がある場合、平均的な収支であれば、90歳まで1人で生活しても344万2500円の余剰金が出ることになります。 ただし上記の計算では、医療費などの突発的な出費を考慮していません。病気やけがで医療費がかかり、その間パートで働けなくなった場合、貯蓄できる金額は少なくなるでしょう。