神座に横綱も…クセが強すぎる「関西発祥ラーメン」チェーンが、倒産ラッシュのラーメン業界で支持を集める「納得の理由」
無借金経営を続ける横綱
1972年(昭和47年)、京都の南区で屋台からスタートした「ラーメン横綱」も50年を超える歴史を持つチェーン店となった。 ラーメン横綱は合計46店舗を展開している。内訳は関西(28店舗)東海(15店舗)関東(3店舗)のエリアである。それぞれをエリアごとに管轄する会社を分けている。 他にもカフェ事業、串焼き事業、コンビニ事業(ファミリーマートに加盟)、食品製造事業(麺、スープ、餃子など)、厨房事業、通販事業も展開しており、株式会社横綱を中心にグループ内6社で、分業と調整を繰り返しながら、円滑な運営をしている。 非上場だが、横綱グループ年商100億円、赤字で撤退した店がなく、無借金経営という強固な財務基盤を有している。横綱グループの組織は地域別、業態別、機能別で各事業を分社化し、権限と責任を持たせながら管理統制する組織形態だ。 消費者の「食に対する安心・安全」という高まるニーズに応えるため、自社工場にてセントラルキッチン方式を採用し、全店舗均一の商品とサービスの提供を確立。HACCPの衛生管理手法を、業界に先駆け生産工程に導入するなど、食を通じて社会に貢献する企業としての自覚と責任を大切にしている。 ラーメンは、1000円の壁で物議を醸しているが、値段は700円から。透き通ったスープはあっさり醤油に豚骨ベースで飲みやすく万人向け。ネギをお好みでたっぷり入れられるサービスも好評のようだ。ちなみに焼飯も定番の人気メニューだ。 郊外型のロードサイト店は駐車場も広いが、それでも満車になるほど大人気。店内は明るく、カウンター席テーブル席と共にあり、ゆったりとしたレイアウト。個人でもグループでも安心してゆっくり食べられる環境づくりもニーズを満たしているのだろう。
ピンチを千載一遇のチャンスと捉える
ラーメンは国民食として存在感が強くはあるものの、トレンドの変化が激しく、新たな味と共に次々にオープンする新規出店者と既存店の戦いが熾烈だ。物価高騰で利益を確保するのが難しいのに、この過剰供給の状態に嫌気が指す店も少なくない。 物価高騰で薄利多売にも限界があり、競争が激化し先行き不安の状態に値上げをしたいが容易にできない状態に地団駄を踏む。生き残り競争が激化する中、増える節約志向のお客さんの店を選択する目が、一層厳しくなっているから尚更大変だ。 こういった市場環境が厳しい中、ピンチを自社が成長する千載一遇のチャンスと捉えて、積極的に展開する関西発祥のチェーン店。新規エリアを開拓したり、新事業を傘下に加えて事業基盤を盤石化させ続けるチェーン店たちの今後の展開に注目したい。
中村 清志(中小企業診断士・中村コンサルタント代表)