厚労省「次に来るパンデミック」への対策を強化 “未知の感染症”に備える仕組みとは
厚生労働省は2025年4月から、未知の感染症の早期把握のために、診断名がつかない呼吸器系の症状があれば医療機関から報告を受けて調べる仕組みを開始すると決定しました。この内容について中路医師に伺いました。 【イラスト解説】新しいコロナ対策「レプリコンワクチン」の特徴・有効性
厚生労働省が決定した仕組みとは?
編集部: 今回、厚生労働省が決定した仕組みについて詳しく教えてください。 中路先生: 2024年10月、厚生労働省は専門家部会を開きました。会議の中で、未知の感染症をいち早く把握するために、病名が分からなくても喉や肺の炎症などの症状があれば、「急性呼吸器感染症」という区分で報告を受けて、調査をおこなうことが決定されました。報告は全国約3000の医療機関から受け、一部の病院では検体も収集して遺伝子解析をおこない、早期の分析や感染の拡大防止につなげていく考えです。この仕組みの運用は、2025年4月7日からスタートする予定です。 厚生労働省は現在、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの呼吸器系の感染症について、決められた医療機関から報告を受けて感染状況を調査して1医療機関あたりの患者数などを公表していますが、診断名がつかない場合は報告を求めていません。そのため、未知の感染症を早期に把握する仕組みの整備を求める声が上がっていました。 厚生労働省は「次の世界的なパンデミックは、呼吸器の感染症で起きるとも言われており、万が一に備えて調査態勢を充実させていきたい」と述べています。
今回のニュースへの受け止めは?
編集部: 厚生労働省が決定した仕組みについての受け止めを教えてください。 中路先生: 縦割りではなく横のつながりを重視した、将来の未知の感染症の流行に対して迅速かつ的確に対処するための司令塔として、今回の新たな統括庁に対する期待は大きいと考えます。
「急性呼吸器感染症」の仕組みのメリットは?
編集部: 今回、新たに設定された「急性呼吸器感染症」の仕組みは、我々にとってどのようなメリットがありますか? 中路先生: 一番のメリットは、有効な未知の感染症の予防・流行防止・治療をつかさどる機能と同時に、医学的な側面だけではなく、社会学などの専門家の意見も取り入れ、いかに日常生活や経済への影響を最小限に食い止められるかを判断する機能も有しているということであると考えます。