【MLB】 バーンズの衝撃契約の裏側 バーンズ側からDバックスに逆オファー 州税率の違いもファクターか
日本時間12月28日、今オフFA市場のNo.1先発投手だったコービン・バーンズが、それまで噂が出ていなかったダイヤモンドバックスと6年契約に合意したことは大きな衝撃をもたらした。その衝撃から一夜明け、バーンズの急転直下の移籍劇の裏側が、複数の報道から明らかになりつつある。 【特集】2024年オフシーズンの移籍情報まとめ バーンズの決断の大きな部分を占めたのが、彼の家族だったという。バーンズはアリゾナ州スコッツデールに在住しており、数年前から友人たちにいつかダイヤモンドバックスでプレーしたいと漏らしていたという。さらにバーンズは7月に第2・3子となる双子を授かっており、家族と一緒にいられる時間を大事にしたかったという思いもあった。地元紙「アリゾナ・セントラル」のニック・ピエコロ記者によれば、バーンズ側の代理人スコット・ボラスから球団に“逆オファー”があり、それをきっかけにダイヤモンドバックスはバーンズとの交渉を開始したという。 今オフのダイヤモンドバックスの補強ポイントは先発ローテではなかったが、ダイヤモンドバックスはバーンズと契約するチャンスを逃すのは惜しいと考え、予算の増額に踏み切った。そして、その結果がダイヤモンドバックスの球団記録となる6年2億1000万ドルの契約だった。 バーンズは額面の上ではダイヤモンドバックスからのオファーより高いオファーを受け取っていたという。「USAトゥデイ」のボブ・ナイチンゲール記者は、バーンズの古巣オリオールズと争奪戦の本命と考えられていたブルージェイズがそれぞれ球団史上最高額の契約で交渉に臨んでいたと報じた。また、ナイチンゲール記者は「ア・リーグ東地区の球団が7年2億5000万ドルを提示した」とも報じている。 バーンズの契約におけるもう一つのファクターが、州ごとに違う税率だ。アリゾナの個人所得税率は2.5%で、カリフォルニア州の13.3%、バージニア州の5.75%(米サイト「タックス・ファウンデーション」から引用)、さらにブルージェイズが本拠を置くカナダのオンタリオ州の13.16%(課税所得22万ドル以上、カナダ政府公式サイトから引用)より低い。バーンズとしては他球団のオファーが仮に額面上では高くても、受け取れる分でいえばダイヤモンドバックスからのオファーが最も多かった可能性もあるというわけだ。 もっとも、オリオールズの地元メディア「ボルティモア・バナー」のダニエル・アレンタック記者によれば、オリオールズはバーンズに対して「競争力のあるオファー」を提示したものの、最終的にダイヤモンドバックスのオファーには及ばなかったとのこと。さらにブルージェイズと並んでバーンズ争奪戦の本命とされていたジャイアンツも、ダイヤモンドバックス以上のオファーを出さなかったと「サンフランシスコ・クロニクル」のスーザン・スラッサー記者が報じている。 結局のところ、税率の違いを考慮すれば、ダイヤモンドバックスのオファーを完全に上回るオファーを提示した球団があったかどうかは不明だ。バーンズが家庭の事情からディスカウントを呑んだというよりも、ダイヤモンドバックスからのオファーが環境面・金銭面の両方でバーンズにとっては最善のオファーだったということかもしれない。