ロシア大統領府に無人機攻撃か 誰が実行? 自作自演? 小泉悠さん「かなり大きな展開が起きそうな局面を我々は見ている」
■ロシアの“自演自演”なのか? 今後「どこまでやるのか」が問題
小栗泉・日本テレビ解説委員 「ロシア側の“自作自演”とした場合ですが、今、ロシアについては『兵士が足りない』というようなことも言われています。そういう意味で、『ウクライナがこの象徴的な攻撃を実行した』ことにして、国際社会が『ウクライナ側が悪い』と思うように仕向けたいという狙いがあるということでしょうか?」 小泉悠氏 「国際社会に対しては、そういうことを主張したいでしょうし、国内向けには『こんな、ひどいことをされた』『国家のシンボルに攻撃を受けた』のだから、『皆、戦争に協力しなければいけない』という方向に確実にもっていくのでしょうね。ロシア側の主張が事実であっても、そうでなくても。問題は、その場合にどこまでやるのか、ということです。例えば、ずっとうわさがありますけど『第二次動員をかけるのではないか』とか、『戒厳令を発令して総動員までやるのではないか』といった方向にいくのか。それとも、クレムリンが攻撃されただけで人も死んでいないので、『報復としてキーウの中心部に何発か撃ち込む』程度にするのか、これからのロシアの出方を見ないと分からないですよね」
■核兵器の使用…踏み出す可能性は
有働キャスター 「どちらの攻撃か分からない上で、プーチン大統領はどのような心境で、どのような行動に出そうなのでしょうか?」 小泉悠氏 「これがもしもロシアの自作自演ではなくて、本当にウクライナの作戦によるものであったとするならば、プーチン大統領は相当怖いのではないかと思います。かなり暗殺を恐れたり、他人を信じられなくなったりして、従来に比べて相当、“パラノイア”的になっているのではないかと以前から指摘されていたわけです。クレムリンのような“居場所が知られている”所にいたら『危ない』というので、散々言われていますが、あちこちに『セーフハウス』を持っているらしいので、もうクレムリンに出てこなくなってしまうのかもしれません。または、『こういうことをするやつらを一掃しなくてはならない』と、激しい攻撃、例えば核兵器を使うといった行動に出ることも考えられなくはないです」 「ただやはり、この1年2か月の戦争で、プーチン大統領はどれほど苦しくても核兵器は使わなかったですし、国民の動員も非常に慎重でした。それはやはり、彼がまだ正常な判断能力を失っていないからだと思います。そのため、この程度の攻撃でプーチン大統領が取り乱して、これまで実行してこなかった行動に出るとは、少し考えにくいと思います」 「一方で、『この先もう戦争がなかなかうまくいかないから』と、これまで実行してこなかったことを意図的に実行する…と彼が計算ずくで今回の攻撃を自作自演として実行した可能性はあります。その場合、今後の展開は分からないですね。核兵器使用は依然として非常にハードルが高いと私は思っています。例えば、キーウ中心部のウクライナ大統領府や国防省に対する攻撃や、これまでロシアが実行してこなかったような戦い方もあるので、そういうことを始める可能性はあります」