習近平「初もの尽くしの月面探査」に国民が大反発…!NASA長官も「釘を刺した」中国宇宙開発の「あきれた実体」
米中分断を深める中国の「宇宙開発」
5月3日、中国宇宙開発局は無人月面探査機の「嫦娥6号」を中国南部の海南島から打ち上げて、成功したと発表した。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 前編「このままでは月が「中国の領土」になってしまう…! いま習近平の宇宙開発「世界初連発」のウラで高まっている「アメリカの懸念」」でもお伝えしたように、電波が届かない月の裏側に着陸し、岩石などを採取して地球に戻ってくる「サンプルリターン」を目指しているという。 成功すれば世界初となる。 宇宙開発局は「全人類に科学的な価値をもたらしたい」と語っているが、宇宙開発は軍が関与しており、他国の警戒感が高まるのは必至だ。 「世界初」を目指す月面探査のチャレンジは、とりわけ中国経済が低迷するこの時期にあって、その狙いが空回りするのではないかという不安がある。 つまり、アメリカと無用な対立を深めてしまうという懸念である。さっそく、米政府は苛烈な関税を中国に課すと発表した。
陰湿な報復
アメリカ政府は5月14日、中国製電気自動車(EV)に現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課すことを決定した。 半導体や太陽光パネル、鉄鋼、アルミなどに対しても総額180億ドル(2兆8000億円)分の輸入品の関税を引き上げるとしている。 米国側は中国の過剰生産問題に関する政府間協議を求めていたが、中国側がこれを拒否し、逆に米国の保護主義的傾向を強く批判していた。 このため、らちがあかないと見た米国がやむなく鉄槌を下したというわけだ。 大国のプライドを傷つけられた中国政府は陰湿な報復に出ているようだ。「米国で深刻な薬物問題を引き起こしているフェンタニルの原材料の米国への輸出を拡大する措置を講じた」との憶測が流れており、米国との対立はますます深刻になるだろう。
月は「中国の領土」に…?アメリカの警戒
国際社会での大国の地位を確実なものにするため、中国はさまざまな分野で布石を投じている。その最たるものが月面探査に関する動きなのだ。 5月3日、月の裏側から土壌などを採取し持ち帰る世界初のミッションのため、無人月面探査機を打ち上げたが、4月21日には世界で初めて縮尺250万分の1の月の高精度な地質地図を公開している。 中国の一連の動きに対し、当然、米国ではにわかに警戒感が高まっている。 4月18日に下院に出席した米航空宇宙局(NASA)のネルソン長官は「中国が米国よりも先に月探査に成功するかもしれない。そうなれば、中国は月を自国の領土だと主張し、他国を排除する恐れがある」との懸念を示している。 習近平国家主席は5月16日、7ヵ月ぶりに中国を訪問したロシアのプーチン大統領と会談し、「中ロは緊密かつ戦略的に協力しなければならない」と述べ、米国への対抗姿勢を鮮明にした。
帝国の崩壊
思い起こせば、1980年代のソ連は経済が低迷する中、冷戦の雄としてのプライドから米国との全面対決に挑み、これが災いして、帝国の崩壊を招いた。 実際、中国では各地でロケットの残骸が落下しており、国民の安全が脅かされている。国民の怒りに火が付かないか心配だ。 今の中国も旧ソ連と同じ道を歩んでいるのではないだろうか。 連載記事「中国EVの「弱点」が発覚して販売台数が激減…! 国民の不満を映す「中国版お年玉」の寒すぎる事情」では、中国の国内経済の窮乏掘りをさらに詳しくお伝えしよう。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)