柔道経験を活かし「ここで負けたら俺じゃない」精神で矢板中央の主将に。佐藤快風なら再び這い上がり大舞台で活躍する――それほど魅力のある選手だ【選手権】
高岡とも対戦し「楽しすぎた」
スポーツ推薦では声がかからず、自ら練習会に参加して掴んだ憧れのチームでのプレーだったが、現実はそう甘くない。同級生はクラブチーム出身の選手ばかりで、中体連出身選手は数えるほど。矢板中央に行くと言っても「無理だろう」という声が多かったが、中学時代のチームメイトが「快風ならできる」と言ってくれたことが勇気になったという。 ただ、入学当初は1年生チームのAチームに入れず、主力の多くが経験しているルーキーリーグには1試合も出ていない。「ここで負けたら俺じゃないと思った。努力するしかないと思って、泣きながら練習した」結果、夏休みが終わる頃にようやく試合に出られるようになった。 2年生になってからはトップチームに昇格したが、膝の怪我で思うように試合経験を積めなかった。当初は選手権のメンバーにも入れなかったが、予選終了後にBチームでのプレーを買われ、滑り込みで30人に名を連ねた。ベンチには入れなかったが、「スタンドで見るのと、間近で見るのは違って、自分の経験にもなった」と話す。 主将となった今でも、上手さだけを見たら立ち位置は以前と変わっていない。「選手権メンバーの誰よりも下手糞で、ボロクソに言われてきた。活躍しても尻を叩いてくる奴もいたので、そうした奴らに何で返すかといえばこの選手権で、この大舞台で活躍することしかなかった」。 そう挑んだ1回戦、岡山学芸館高が誇るFW太田修次郎、香西健心の2人と張り合い、2回戦の日章学園戦ではサウサンプトン内定のFW高岡伶颯にもそう簡単に仕事をさせなかった。「そうした選手と互角にやれたり、自分の戦う姿を見せることができたのは楽しすぎた」。 「精神的支柱で、ピッチの中にコーチがいるような感じだった」と高橋健二監督が称えたCBは卒業後、関東1部リーグの強豪大へと進む。再び一番下のカテゴリーからのスタートになるかもしれないが、彼なら再び這い上がって大舞台で活躍するだろう。それほど魅力のある選手だった。 取材・文●森田将義
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