ネタニヤフ首相、ハマスへの強硬姿勢崩さず-大規模デモは響かず
(ブルームバーグ): イスラエルのネタニヤフ首相は今も、イスラム組織ハマスに対する強硬姿勢を崩していない。ハマスに捕らわれていた人質のうち6人が遺体となって発見されたことを受けて、イスラエル国内で大規模なデモが発生。英国はイスラエルに対する一部の武器輸出停止を発表したが、今のところは首相の考えに響いてはいない。
イスラエル最大の労働組合、労働総同盟が呼び掛けた2日の全国ストライキには大手企業のほか小規模の事業者も参加。参加者らはネタニヤフ氏の強硬姿勢が人質の死につながったとして同氏を非難した。米国はネタニヤフ氏に対しハマスとの停戦合意を迫る一方、英国は同国製部品を使った武器がパレスチナ自治区ガザで使用されることが国際人道法違反に当たる可能性があると判断し、イスラエルに対する一部の武器輸出許可を停止すると発表した。
3日にはイスラエル国内の企業が通常の取引を再開。また殺害された人質の葬儀が執り行われ、集会は一時中断された。
デモ参加者は政府に対し、ハマスとの停戦交渉で一段と譲歩するよう求めていた。合意が成立すれば、残る約100人の人質の帰還と11カ月近く続く戦争の停止が可能になるとの主張だ。
ネタニヤフ首相は2日夜のテレビ会見で、「フィラデルフィア回廊」として知られる14キロメートルの国境地帯はハマスの重要な補給路であり、決してこの管理を放棄してはならないと言明。放棄すれば、昨年10月7日の侵攻と同じような攻撃の脅威を増大させることになると語った。
停戦合意への障壁の一つは、イスラエルがハマス壊滅という目的を達成するため戦闘を再開する権利を保持する必要があると主張していることだ。ハマス側はいかなる合意も戦闘の恒久的な終結を意味するべきだと述べている。
ネタニヤフ首相の与党リクードに所属するシクリ・ディアスポラ相は、6人の人質殺害により「ハマスとの状況は変わった」と電話取材で発言。
同相は「一部には『フィラデルフィア回廊はあきらめて放棄しよう』という声もある」と指摘した上で「われわれは決して放棄しない。以前なら軍の駐留を減らすことも考えただろうが、もはやそうした状況ではない」と述べた。