徳光和夫、24年連続『年忘れにっぽんの歌』司会は「誇り」 演歌歌謡 次世代歌手~キャリア60年超えベテランの魅力を語る
■演歌歌謡 次世代の歌手たちは“時代の架け橋”
――今年は、新浜レオン、真田ナオキ、辰巳ゆうと、青山新、田中あいみといった20~30代の若手歌手が新たにラインナップされました。現場の雰囲気の変化などは感じられますか。 【徳光】演歌の第7世代ですね。やっぱり若い人たちが入りますと、本当に雰囲気がイキイキする感じがします。番組を観てくださる方々は、本人の歌もさることながら、往年のヒットソングも楽しみにしてくれていると思うんですよね。ですから、先輩たちが作った、先輩たちが残してくれた名曲を、若い世代が歌うのも一つの見どころ、聴きどころだと思います。 真田ナオキくんの「ダンシング・オールナイト」(もんた&ブラザーズ)もよかったですし、辰巳ゆうとくんの「箱根八里の半次郎」(氷川きよし)でお客さんの反応を見ておりましても、感心している表情が見えました。 今年ブレイクした一人でもある田中あいみちゃんは、本来であれば、つい先日『日本作詩大賞』を受賞した「TATSUYA」を選曲するところでしょうが、『年忘れにっぽんの歌』では、彼女のハスキーな歌声をどう名曲と結びつけるかというところで、堀内孝雄さんと桂銀淑さんのデュエット曲「都会の天使たち」にはめ込んだわけです。 おそらく会場の皆さんは「桂銀淑の再来だ」と受け止めてくださったのではないかと思います。あいみちゃんは気づいていないかもしれませんが、田中あいみの新たな魅力として、視聴者の皆さんも受け止めてくださるのではないかなと思うんですね。 2025年は「昭和100年」にあたる年で、先輩が築いた名唱・名曲を後世に伝えていくのも歌手としては非常に大きな役割だと思います。ヒットソングには時代背景が必ずあるわけですよね。戦火が近くなってきているときのヒット曲、好景気のときのヒット曲、アイドル全盛時代、グループサウンズ時代、ニューミュージックの時代であるとか、やっぱり歌というのは一気にタイムスリップして当時のことを思い出させてくれる役割があると思います。 そういう意味からしましても、名曲がヒットした当時を知らない世代の若手歌手が、先輩たちの名曲に取り組み、歌い継ぐことによって、視聴者の皆さんが各時代を振り返ったり、思い出が蘇ったりもするでしょうし、ある意味で“時代の架け橋”になってくれるのではないかと期待しています。 おそらくテレビ局のプロデューサー、ディレクターも、それぞれの歌手の声に合った歌を選曲しているでしょうから、若手の歌手たちは「どうしてこの曲を自分に選曲してくれたんだろう」ということをじっくりと考えて、原曲を大切にしながら披露してくれていると思います。僕は歌番組の司会を60年ぐらい続けてまいりましたが、彼らは、会話も軽妙で楽しく、歌に対しましてはプロフェッショナルだなと感じます。取り組み方がとてもすばらしいなと思いますね。 ■60年以上歌い続ける歌手の“歌い様”“生き様”を刺激にして ――見どころも含めて、番組を楽しみにされている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。 【徳光】「一年に一度は聴きたい歌」は皆さんそれぞれ違うかもしれませんけれども、例えば鳥羽一郎さんの「兄弟船」、八代亜紀さんの「舟唄」、石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」であるとか、名曲がおもちゃ箱のように詰まった6時間になると思います。1番は一緒に歌いながら、2番・3番はプロの歌い手さんたちの名唱に酔ってもらいたいですね。 見どころとしましては、20年以上ぶりに笹みどりさんが帰ってきてくれたことです。彼女は昭和40~50年代に“昼メロ”ドラマの主題歌の女王と呼ばれていました。大病を患いまして復帰が危ぶまれていましたが、今回、一番なじみのある歌「下町育ち」で戻ってきてくれました。以前から「治ったらぜひ」とお伝えしていたのですが、収録では客席からひときわ大きな拍手が沸き起こりました。これは見どころ、聴きどころだと思います。そういう歌が随所にあります。 案外知られていないところでは、今回出演した歌手の中で一番芸歴が長いのが三沢あけみさんなんですよね。1963年デビューで歌手生活61年ですが、東映の姫様女優をやっていた時代からは芸歴65年くらいになります。山田太郎も同期で、61年ですかね。やっちん(田辺靖雄)は子役として4歳から歌ってたって言っていましたけど、デビューからは61年になるのかな。菅原洋一さんはレコードデビュー62年。91歳ですが、今回も本当にすてきな甘い声で歌われていました。 このように60年以上歌い続けてきた方が結構いらっしゃいます。テレビをご覧の皆さんの中には、60代や70代でも「ちょっと疲れちゃった」という方もいらっしゃるかもしれません。そういった方々には、60年以上第一線で歌い続けてきた歌手の皆さんの元気な歌声を聴いて、“歌い様”“生き様”を刺激にしていただきたいなと思います。 ■『第57回年忘れにっぽんの歌』 放送日時:12月31日(火)午後4時~10時 テレ東系 司会:徳光和夫、竹下景子、中山秀征 ▼出演歌手(50音順) 青山新 秋元順子 石川さゆり 五木ひろし 伊藤咲子 大江裕 大月みやこ 大野真澄 丘みどり 梶光夫 川中美幸 北山たけし クミコ 香西かおり 九重佑三子 伍代夏子 小林幸子 坂本冬美 笹みどり 真田ナオキ 純烈 神野美伽 菅原洋一 瀬川瑛子 千昌夫 DAIGO 田川寿美 辰巳ゆうと 田中あいみ 田辺靖雄 天童よしみ 鳥羽一郎 中村美律子 長山洋子 夏川りみ 新沼謙治 新浜レオン 早見優 原田悠里 福田こうへい 藤あや子 細川たかし 堀内孝雄 堀ちえみ 前川清 松平健 松前ひろ子 丸山圭子 三浦和人 美川憲一 三沢あけみ 水森かおり 三山ひろし 森口博子 山内惠介 山川豊 山田太郎 山本譲二 吉田兄弟 ロス・インディオス&工藤夕貴