福住仁嶺選手(No.14 ENEOS X PRIME GR Supra)「あんなに喜べない表彰台はない」 | SUPER GT 2024 第3戦 鈴鹿【SUPERGT あの瞬間】
── とはいえ、福住選手はGT500クラスにデビュー後、毎シーズン必ず優勝しています。今年はそれを14号車で実現できるのではないですか?
福住:実は、僕自身もそのことをわかっていたし、毎年勝ち続けることが非常に大事だと思っています。去年も鈴鹿(第5戦鈴鹿)で優勝することができたし、毎年、なんだかんだ結構な割合で最後までチャンピオンシップに絡んでいるシーズンが多かったので、正直なところ、自分自身まだまだ全然焦ってもないですね。毎年そうなんですけど、GT500クラスに出始めてからは最初の数戦はダメで、そこからはずっとポイントを着実に獲れるレースが多いんです。なので、個人的にはそういうシーズンの流れには慣れてます。今回は2位でしたが、欲を言えばまだまだ(サクセスウェイトが)軽いなかでレースができると思えば、全然(焦ってはいない)。まぁ、勝ちたかったですけどね。
── 終盤、悔しいなかでドライブスルーをペナルティーを消化し、そのあとは怒涛の追い上げ。まず、72周目にNo.36 au TOM’S GR Supraを逆転します。
福住:向こう(36号車)は“燃リス”(燃料流量リストリクター調整)も入って車重も重たい状態だったので、スプーンの入口で外側に並ぶことができたんです。そこで相手のラインをちょっとだけ潰しながら、130Rに向けて僕に有利になるよう、うまく相手との距離を見ながら走って……。スプーンカーブでのアプローチが非常に良かったので、130R手前で前に出ることができました。
── その次は、“古巣”16号車が目の前に。78周目のシケインでズバっと逆転。コンビを組んでいた大津弘樹戦手を再び抜きました。
福住:そもそも最初のスティント(で抜いた16号車をドライブしていたのも)大津選手でした。去年、あんなにすごく楽しいシーズンを過ごさせてもらった16号車のメンバーもみんな知ってますしね。(チーフ)エンジニアの杉崎(公俊)さんも、SF(スーパーフォーミュラ)で勝たしていただいた経験(’21年第4戦SUGO)がありますし。(16号車との攻防戦は)去年まで走ってたクルマが目の前にいて、なんか非常に新鮮な気持ちでした。それも(その相手が)、今もすごく仲がいい大津選手っていうことで。“絶対に負けたくない”っていうのもありますが、それ以上に、お互いすごいフェアな感じでレースをして、純粋にレースを楽しむことができました。1回目、1コーナーで抜いたあとは、ハザード(ランプ)を焚いて“ざまぁみろ!”みたいな感じでやってましたけど(笑)。でも(第3スティントの)2回目に抜いたときはもうその余裕もなく……。ドライブスルーしたあと、僕は完全にもう目の前のことしか見てなかったので。36号車のときも16号車のときも、37号車にまだ追いつける可能性が少しでもあると思ってたので早く抜きたかったし、抜いたあとはとにかく前を見てずっと走ってました。