今なおくすぶり続ける氷河期世代の怨嗟と恨み節 当事者は「やり場のない思いをネットにぶつけてる」、一方で下の世代は「正直知らんがな」
「やり場のない思いをネットにぶつけている」
「同世代の数が多いので、大学受験も大変だった」と振り返るのは、金融機関勤務のSさん(50代・男性)だ。 「早稲田のような人気私立大学では、倍率10倍以上もザラ。上の学年が落ちてまた受けるので、入学者では現役のほうが少ないぐらいのレベルでした。それを勝ち抜いたと思ったら、今後は就職氷河期。しかも10年ぐらい、長期にわたって続きましたからね。能力が高いのに安い給料でこき使われて、やっと今、給料や労働環境が見直される風潮になり、言いたいことが言える時代になってきたという感じなのでは」(Sさん) その他、保険会社へ一般職として新卒入社したIさん(40代・女性)は、ネットに氷河期世代の声が数多いことについて「ネットを使いこなす世代でもある」ことを指摘する。 「私も大学受験はめちゃくちゃ頑張ったのに、就職では総合職には入れず、一般職でした。政府が今頃になって少子化対策、氷河期世代救済などとうたっていますが、正直、今頃言われてもという感じ。これからどうこうするには年齢を重ねてしまったし、とはいえ忘れられるのもイヤなので、やり場のない思いをネットにぶつけているだけです。承認欲求といえばそうなのかもしれません。就職した頃に携帯電話やパソコンもあって、ネットに対しても上の世代より馴染みがあるのも大きいのでは」(Iさん)
「ゆとりはゆとりで言いたいことがありますよ(笑)」
世代によって、それぞれの言い分は当然あるだろう。自身を“ゆとり世代”だという30代のOさん(フリーター・男性)は、「氷河期世代で優秀な人って、ハンパなく優秀というイメージがある」と言うが、ネットで見かける“氷河期世代の言い分”については、「そう言われても……」と苦笑いだ。 「ゆとりはゆとりで言いたいことがありますよ(笑)。氷河期はたしかに悲惨だったんだろうなとは思いますが、就活大変だったという話をされても、正直知らんがなという感じです」(Oさん) 20代ともなると、さらに冷めている。 「年金問題とか社会保険料とか、私たちの世代だって苦しくなることがすでにわかっている。世代ごとに苦しさはあると思う。ネットで愚痴を言っている人たちは、誰にもその辛さを共有できなかったのかな」(20代・女性/IT企業勤務) 「最近気がついたんですけど、こういうのって“反戦運動”みたいなものなのかなと。もう氷河期の悲劇を繰り返えしてはいけません、みたいな……。ただ、それならそれで、ネットに書き込んでもしょうがないんですけどね。数のパワーで、今からでも大きな反乱を起こしてくれたらいいのに」(20代・男性/広告代理店) 厚生労働省は、「就職氷河期活躍支援」を掲げ、就職氷河期世代限定・歓迎求人ページを設けるなどしているが、前出のIさんは「何もしないよりマシなくらいの対策なんでしょうが、時すでに遅し。そもそも定年を迎えた後の氷河期世代を今後どうしていくつもりなのか」とバッサリ。氷河期世代が抱える闇が消えることはなさそうだ。(了)