米東・支える人々 第4部/4止 地元の理学療法士5人 週に一度のトレーナー /鳥取
<第91回選抜高校野球 センバツ> ◇元気になるアドバイス 「だいぶ回復してきたかな。よし、それじゃあ効果的なストレッチを教えるね」。米子東の野球部室は週に一度、マットが床に敷かれ、選手の調子を確認して体の動かし方などを教える「コンディショニングルーム」に変わる。地元の理学療法士5人が約3年前からトレーナーを買って出ている。内田由起子さん(32)は「甲子園でもベストパフォーマンスを発揮してほしい」と期待を寄せる。 きっかけは内田さんが米東ファンだったこと。常に礼儀正しく懸命にプレーする姿勢に心を揺さぶられる。一方、けがで満足にプレーできない選手も少なくないことから「短い高校生活。常に100%の状態で練習してほしい」と、知人を通じて紙本庸由(のぶゆき)監督にボランティアを申し入れた。 モットーは「選手が自分で自身の体の状態を把握し、けがを予防するためのストレッチに励むよう教えること」で、奉仕活動とはいえ徹底している。「自分を守るのは自分」だと選手には常に言い聞かせている。 平山悠斗選手(1年)は支えを実感した一人だ。入部間もなくして太ももに2カ月の大けがをした。野球どころか日常生活にも不安を感じた。それでも内田さんらの尽力により回復。「落ち込んだ時も『こういうストレッチをすれば大丈夫』とか元気になるアドバイスをしてくれた」と感謝を口にする。将来彼女らと同じ道に進むことも心に決めている。 メンバーの一人、山崎祐輔さん(43)は「『山崎さんのお陰で痛くなくなった』と喜んでもらうのは本当にうれしい」とやりがいを口にする。紙本監督は「選手にとってけがで野球ができないのが一番つらい。チームにとって欠かせない存在です」と全幅の信頼を寄せる。 陰に陽に大勢の人々の支えがあってここまでこられたナインたち。15日には初戦の対戦校も決まり、成長ぶりと感謝の気持ちを見せる舞台は整いつつある。=第4部おわり(この連載は園部仁史が担当しました)