「玄関のドアを破壊して“あいつが悪いんや”」 5人死傷の放火事件、23歳無職男が直前に起こしていたトラブル
自ら命を断とうとした男が、アパートの自室に火をつけた。直後に首をつろうとしていたものの、怖くなって逃げたという。 【写真を見る】黒焦げの柱や壁が無惨に残る焼け跡
燃えさかる炎は不気味な轟音とともに家屋を焼き尽くし、4時間ほどで鎮火。黒焦げの柱や壁が無惨に残る焼け跡からは性別不明の2遺体が見つかった。ほかにも、出火から鎮火までに3人が負傷している。 5人が死傷した放火事件は8月8日夜、岐阜県高山市で起きた。 「森江琉聖(りゅうせい)という23歳無職の男が、岐阜県警に現住建造物等放火容疑で逮捕、送検されています」 と、県警担当記者が振り返る。 「現場は2階建ての木造アパートです。1階と2階に計12部屋あり、9世帯10人が入居していました。森江容疑者は8日夜10時ごろにアパート1階の自室に放火して逃走。日付が変わった9日の0時過ぎ、消火活動が続く中、高山署に出頭しています」
“殺意”の有無は
犠牲になったのは38歳の男性と80代男性で、 「ともに2階の住人でした。二人の死因は急性一酸化炭素中毒で目立った外傷はなかったため、逃げ遅れた可能性が高いとされます。ほかに、1階に住む80代女性と2階の50代男性、そして出火で駆け付けたアパート大家の70代男性の三人が火傷を負いました。負傷した住人二人は、命からがら逃げだしたのです」 森江容疑者は住人を巻き込むことを認識していたとみられる。その動機に“殺意”は含まれていなかったのか。
生活保護を受給
捜査関係者が明かす。 「殺意に関する明確な供述は得られていません。が、取調べに“自殺しようとして火をつけた。他人はどうなってもいいと思った”との趣旨の話をしている。事件2日前には、遠方に住む祖母に“死にたい”などと電話で話してもいました」 森江容疑者は千葉県出身で、約2年前に愛知県から高山市へと転入しており、 「市内のボランティア団体の施設で数日過ごし、現場アパートに入居しました。以降、孤独な一人暮らしが続き、うつの傾向が強まった。それで自殺願望が生まれたとみています。その願望とアパートでのトラブルの関係も解明が必要です」 アパートの大家によると、 「森江容疑者は、市の福祉関連部署からの連絡で入居しました。生活保護受給者なので月1万5000円の家賃は市から入ります。それ以外の光熱費や水道代は本人に請求し、本人から払ってもらう。その額も月3000円ほどと、極めて少なかった」