物価高の救世主?お値ごろ「ちくわぶ」 1本でカヌレとチュロスにぜいたく節約スイーツ
おでんの具材で知られる「ちくわぶ」。小麦粉でできた練りもので、安くて味がほぼないのが特徴だ。それが「ちくわぶ料理研究家」と称する丸山(本名・大貫)晶代(あきよ)さん(54)の手にかかると、カヌレやチュロスのようなスイーツに化ける。創作レシピは実に500通り。魅力を普及させたいと活動を続けている。 【写真】ちくわぶをバターでこんがり焼いてチュロス風おやつに 東京以外では無名… 東京生まれの丸山さんにとって、ちくわぶは、幼い頃から食べ慣れた定番の食材だ。ところが約13年前、他県出身の友人とおでんの話になったとき、ちくわぶが主に東京近辺で、しかも「おでんの具」としてしか食べられていないと聞き、寝込むほどの衝撃を受けた。「こんなにおいしいものを知らない人がいっぱいいるなんて。私が伝えなければ」と心に決め、ちくわぶ料理研究家として活動を始めた。 ちくわぶの原料は小麦粉。起源は諸説あるが、丸山さんによると、明治末期から大正初期の頃、京都の精進料理の食材「生麩(なまふ)」にヒントを得て、東京のこんにゃく店が製造を始めたというのが有力という。小麦粉をこねて竹や金属の棒に巻き付けて蒸し、ちくわに似せた食品で「何も味がない」(丸山さん)。逆に「それが魅力で、調理の仕方で形も食感も変わり、メニューの幅が広がる。料理が好きなので、ちくわぶの魅力を無限大に引き出したかった」と創意工夫し、今ではレシピが500以上になった。 モチっと絶妙な食感 一番人気は、フランスの焼き菓子「カヌレ」風のレシピ。仏語で「溝のある、ギザギザした」という意味で、「ちくわぶもギザギザしてるじゃんと思った」。 カヌレのように、「外側をカリッとさせたらできるんじゃないか」と、バター、ラム酒、メープルシロップ、バニラエッセンスを絡めながら焼いたところ、「一発でカヌレになった」。外はパリッ、中はモチッとした絶妙な食感も出せた。 ちくわぶ愛が高じて、10月10日を「ちくわぶの日」と日本記念日協会に登録。「1」をちくわぶ、「0」をその穴に見立てた。 令和4年のちくわぶの日に、食堂「ごはんねこまる」(東京都北区)を開店。月1度、いずれかの日曜には「ちくわぶカフェ」を催す。焼いたちくわぶをナン代わりに添えたカレーや、ちくわぶをカヌレやチュロス風にしたもの、あんみつなどを供する。