「性器を噛みちぎる」チンパンジーと「無害な」人間…「人間家畜化理論」が説明する、ヤバすぎるその理由
家畜化された動物の特徴
ほとんどの場合で、家畜化された動物は、極めて特殊かつ目につきやすい形質や、野生種には見られない特徴を獲得する。家畜化された動物は、基本的に野生種よりもおとなしく、従順で、遊び好きで、攻撃性が低い。これが基本だ。そのうえで、極端なネオテニー(幼形成熟)が見られることも多い。 要するに、子供の特徴をもったまま成熟する個体が多い、ということだ。小さな身体と、肉体的な親密さや抱擁などをいつまでも求める態度も、ネオテニーに含まれる。 また、ほとんどの家畜種では、脳と頭蓋骨がわずかに縮小し、歯と耳と鼻も小さくなる。さらに、巻いた尻尾、垂れた耳、色素の極端な脱落―たとえば額や両目のあいだに現れる白い模様など―といった特徴も、家畜種で多く見られる。これらの特徴は、飼いならされたおとなしい動物のイメージにぴったりだが、なぜ家畜種に多く現れるのか、その理由はわかっていない。
ハンノ・ザウアー、長谷川 圭
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