APEC首脳会議が開幕へ トランプ氏返り咲きで貿易の保護主義に警戒感、成長へ協調模索
【サンパウロ=平田雄介】日本や米国、中国など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が15日、南米ペルーの首都リマで開幕する。来年1月に返り咲くトランプ次期米大統領が関税引き上げを主張し、保護主義的な政策への警戒が広がる中、域内の経済成長に向けて協調し、自由貿易を促す共同声明の採択を目指している。 石破茂首相のほか、バイデン米大統領や中国の習近平国家主席らが出席。プーチン露大統領は参加を見送った。現地からの報道によると、ロシアのウクライナ侵略や、北朝鮮とロシアの軍事協力に関する認識は隔たりが大きく、全会一致の必要がない議長声明で言及する方向だ。 バイデン氏は、16日に習氏との米中首脳会談に臨む予定。トランプ氏再任を前に関係安定化を図るとみられる。APECでは、飢餓、気候変動などの課題でも指導力をアピールしたい考えだ。 ただ、関係者の関心は、米国への全輸入品に10~20%、中国からの輸入品には60%の関税を課すと訴えたトランプ氏の出方に移っている。 習氏は、リマ到着後の14日の談話で、「開放型のアジア太平洋経済を構築し、世界経済の成長を促すため、各国と首脳会議の成功を推し進める」と述べ、高関税政策に反対する姿勢を示した。 また、習氏は14日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の事業でリマ北方に完成した「チャンカイ港」の開港式典にオンライン参加した。米国が中国による軍事利用を警戒する中、かつて米国の「裏庭」と呼ばれた南米で、中国が存在感を示す機会と目されている。