高校卒業後、公務員になった息子。初任給から「最低賃金割れ」で嘆いています…「昇給」は期待できますか?
高校卒業後に公務員になった方のなかには、初任給が東京都の最低賃金を下回っていることに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて! そこで本記事では、令和5年の高校卒業国家公務員のデータを基に以下3点を解説します。 ・高校卒業公務員の初任給が東京都の最低賃金を下回るケース ・高校卒業会社員の初年度年収との比較 ・昇給の見通し 今後の昇給やキャリアプランに不安がある方はぜひご覧ください。
高校卒業公務員の初任給が最低賃金割れするケース
国家公務員法附則6条において、国家公務員には最低賃金法が適用されないと明記されています。そのため、国家公務員の年収が最低賃金を下回る場合があります。 令和5年度の高校卒業国家公務員について、初任給が東京都の平均賃金である1113円(令和6年9月時点)を下回るのは表1の通りです。
出典:デジタル庁e-GOV「人事院規則九-八(初任給、昇格、昇給等の基準)別紙第一 標準職務表(第三条関係)」、人事院「俸給表」を基に筆者作成 最も低い時給は行政俸給表(一)・試験欄「その他」の約1033円で、東京都の最低賃金との差は約80円です。なお時給の算出については、厚生労働省のホームページを基に次の式から行っています。 ・月給÷{(年間所定労働日数×所定労働時間)÷12ヶ月} 「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」によれば、国家公務員一般職の所定労働時間は7時間45分です。 また同法では、土日祝日と12月29日から翌年1月3日までが休日と規定されています。令和5年度は366日で、休日は123日だったため、年間所定労働日数は243日です。 したがって、国家公務員の初任給が東京都の最低賃金1113円を下回るケースでは、次の条件式が成立します。 ・初任給÷{(243×7.75)÷12ヶ月}<1113円
高校卒業会社員との年収比較
表2には、最低賃金を下回る6つのケースについて、次の式から算出した予測年収を記載しています。 ・月収×12ヶ月+期末手当・勤勉手当 期末手当・勤勉手当は、内閣官房内閣人事局の「国家公務員の給与(令和5年版)」を参考に、月給の4.4ヶ月分としました。予測年収が最も低いのは行政俸給表(一)・試験欄「その他」の265万8440円、最も高いのは医療職俸給表(二)の274万2080円です。