楽天Gの高利回りドル債、三木谷氏を待ち受ける課題暗示
(ブルームバーグ): 三木谷浩史社長率いる楽天グループは、モバイル事業参入で5期連続の最終赤字を計上した後、立て直しを図る中で大きなコスト負担を強いられている。
近年、ステフィン・カリー選手が所属する米プロバスケットボールNBAのゴールデンステート・ウォリアーズやサッカーのFCバルセロナとのスポンサー契約で海外での知名度を高めた楽天Gは、来年にかけて控える巨額の社債償還のため資金繰りを急いでいる。今年はこれまでにドル建て社債を2回起債し、計38億ドル(約5800億円)を調達した。
起債を成功させるため、楽天Gは今年のドル債として最高水準の利率を提示せざるを得なかったことをブルームバーグのデータは示している。2本のドル債の利率は11.25%と9.75%だった。
これは同社が低い借り入れコストを支えに負債を絶え間なく拡大してきたツケを支払っていることを意味するものだ。債務問題に直面しているアルティス・フランスを含む通信会社全般に広くあてはまることではあるが、とりわけ楽天Gはモバイルネットワーク展開における多大な投資が財務に重くのしかかり、信用格付けは投機的レベルまで下がった。
過去の取引に詳しい複数の金融関係者によると、現在の格付けでは楽天Gが国内の機関投資家向けに新たな社債を発行することは難しく、これが借り換えの取り組みを複雑にしている。ブルームバーグのデータによれば、同社は系列企業を含め2025年6月までに円とドルの社債総額約44億ドルが満期を迎える。
楽天Gの広報担当者は11日、国内外の市場動向を見極めながら、調達キャパシティーやコストなどを踏まえて常に最適な調達方法を模索していると電子メールで説明。25年の償還に関しては「今後適切なタイミングを見極めながら国内外における社債市場へのアクセスも必要に応じて検討していく」と述べた。
「流動性は改善しつつあるが、楽天Gはさらなる資金を必要とするだろう」と、楽天G債の一部を保有するスイスのプライベートバンク、ボルディエのクレジットアナリスト兼ポートフォリオマネジャー、エイドリアン・レテリア氏は話す。「円建てハイブリッド債や、さらなる資産の流動化、年内の社債の追加発行が考えられる」と言う。