【サブスクで観るならこの1本!】山田孝之主演!実際に起きた凶悪殺人事件の真相に迫る問題作
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2013年公開の『凶悪』をご紹介します! ◇ 『凶悪』(2013年・日本) (配信:Amazon Prime Video / Netflix / Hulu /U-NEXT) 【画像】トラウマ必至?リリー・フランキーとピエール瀧の演じる狂気の「師弟関係」にも注目 実際に起きた凶悪殺人事件について綴ったノンフィクションベストセラー小説を、『碁盤斬り』『孤狼の血』などで知られる白石和彌監督が映画化。取材で拘置所を訪れたジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)から3件の殺人の余罪と、事件の首謀者である木村(リリー・フランキー)の存在について告白される。須藤の証言の真偽と「先生」と呼ばれる木村の素性を探り、調査にのめり込んでいく藤井であったが…。 映画において一種のジャンルとも呼ぶべき“実話もの”。この現実で起きた出来事を扱っているからこそ生じる確かな説得力が感動を増幅させることもあれば、本作のように恐怖を増幅させることもある。徐々に解き明かされていく凄惨な事件の詳細、ピエール瀧とリリー・フランキーが魅せる怪演など、目にする者を引き込む要素は無数にあるが、藤井の姿を通して見えてくるものが一つある。それは、残虐な行為へと至ってしまう人間性について。誰かを擁護する意図は一切ないが、同じ人間である以上、須藤や木村と同じ行動へと至る可能性は誰にだって宿っている。つまりは、状況や環境次第で人はいくらでも残虐になり得るし、過ちだって犯してしまう。 そんな自らにも宿り得る“凶悪”に気づかされてしまうところが、本作の恐ろしいところであり面白いところ。自分はまともであると、正義か悪であれば正義側に属していると自覚する人であればあるほどに、より深く刺さるものがあるかもしれません…。 (C)2013「凶悪」製作委員会 ※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。 ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。
ミヤザキタケル