8大世界戦、一番面白かったのはどれ?
8大世界戦一番面白かったのは?
衝撃あり、波乱ありの年末ボクシング8大世界戦が終わり、日本所属ジムの世界王者が過去タイの9人となった。新しくチャンピオンとなったのはWBA世界ライトフライ級の田口良一(ワタナベ)と、WBC世界ライト級王者のホルへ・リナレスの2人。注目の視聴率戦争の行方は、明日2日にならねばわからないが、筆者の独断と偏見で、どの試合が一番面白かったのかをレベルの高さを含めてランキングにしてみた。 1位 WBO世界Sフライ級戦 ○井上尚弥×ナルバエス 1位はダントツでこの試合だ。21歳の日本最速世界王者vs2階級で27度防衛を果たしていた39歳のレジェンドボクサーとの対決。井上は、「キャリアでごまかされるのではないか」と不安を口にしていた。しかも、相手は、まだプロで対戦経験のないサウスポー。だが、開始25秒に右ストレートで堅いガードをかち割ってダウンを奪うと、一方的な展開となり計4度のダウンを奪って2回に衝撃のKO勝利を奪った。日本のボクシング史に残るような試合だったのと同時に減量から解放された井上が、この先、どこまでいくのか想像もできないほどの可能性と存在感を示した。ファンを引き付けるKO劇と、強敵を相手にしたワクワク感。ボクシングの醍醐味をこれ以上なく堪能させた。 2位 WBA&WBO世界Sバンタム級戦 ○リゴンドーvs天笠尚 「天笠は何分間持つか」。戦前は、世紀のミスマッチもと呼ばれた。五輪連覇のキューバの怪物、リゴンドーを日本に呼んだはいいが、相手は世界では無名の天笠。ボクシング関係者は、集まれば、そんな話をしていた。だが、天笠は勇気を持って攻めた。ガードも忘れず7回には、右ストレートがタイミングよく顎をとらえた。リゴンドーは、たまらず腰からダウン。立ち上がったところに、続けて右フック。2度目のダウンはスリップとも取れたが、ジャッジ3者はダウンと認め、この会を天笠の10-7とした。 目を覚ましたかのようにリゴンドーは、スピードだけでなく、強いパンチを打ち始めると天笠が逆にダウン。左頬には、巨大なタンコブのようなものが出来て、右目の周辺も大きく腫れ、顔面は、まるでハリウッド映画の特殊メイクのように変形してしまい、11回が終わった時点でレフェリーがTKOを宣告した。元々、リゴンドーは、打たれ弱いもろさを持ったボクサーだったが、世界最高レベルのスピードと破壊力に、真っ向勝負を挑んだ天笠の心意気は、あっぱれに尽きる。どこからパンチが出てくるか読めない変則の天笠ゆえの一撃だったが、大番狂わせを演じていれば、間違いなくMVPものだっただろう。