アウディ、中国で新ブランド投入 EV市場で日欧勢巻き返しへ
中国広東省広州市で11月15日に開幕した「広州国際汽車展覧会(広州モーターショー)」。北京・上海と並ぶ中国3大モーターショーの1つで、比亜迪(BYD)や小米(シャオミ)などの中国新興勢力とともに注目を集めたのは、ドイツの名門アウディだった。 【関連画像】東風日産が広州モーターショーで発表したセダン型のEV「N7」 独フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディが中国企業との合弁会社として広州モーターショーで披露したのは、電気自動車(EV)のコンセプトカー「AUDI E」だ。注目を集めた理由の1つは、新たに中国向けの新ブランドとして4つの大文字で表記する「AUDI」を立ち上げたからだ。伝統の4つのリングが重なったエンブレムを使用せず、新たに別ブランドを打ち出した。 開発体制も刷新した。アウディは「AUDI E」を中国の合弁相手である上海汽車集団と共同で開発した。アウディと上海汽車は2024年5月に中国市場向けのEVプラットフォームの共同開発を発表していたが、わずか半年でコンセプトカーを披露した計算となる。 アウディの中国トップのヨハネス・ロシェック氏はコンセプトカーの早期開発に関して「我々のパートナー戦略が計画通りに着実に進んでいることを示すものだ」と力を込める。今回のコンセプトカーをベースとして、25年中に中国でAUDIブランドのEV3車種を投入する計画だ。 アウディは今回のAUDIブランドを広州モーターショー直前の11月7日に発表した。伝統のエンブレムを使用しない決断には、SNS上などで賛否の声が巻き起こった。 だが、広州モーターショー初日である11月15日午前の発表会では、パリ五輪の女子テニスシングルスの金メダリストである鄭欽文選手が登場したこともあり、会見には黒山のひとだかりができた。ブランド変更という「予想外の一手」はひとまず成功したと言えそうだ。 ●中国ブランドのシェアは6割超え 世界的にブランド力の高いアウディがわざわざ中国で新ブランドを立ち上げたのは、中国での販売に苦戦しているからに他ならない。 アウディの24年1~9月の中国での新車販売台数は47万7000台強と、前年同期比で8.5%減少した。BYDを筆頭に中国勢がEVなど新エネルギー車で台頭したことでシェアを落としている。 中国汽車工業協会によると、24年1~9月の中国乗用車市場における中国ブランドの占める割合は63.8%に達した。約4割だった20年に対して20ポイント以上拡大した計算となる。