新型「EX90」から見るボルボが描く電動化の未来、「2030年までの完全BEV化」方針は撤退だが
懸念があるとすれば、まずは価格。今回乗った最上級のTwin Motor Performanceの場合、本国価格をそのまま円に換算すると2000万円の少し手前辺りということになる。現在のラインナップ最高峰、XC90のPHEVは1264万円だから、明らかに別のクラスに属することになる。 しかも、そのXC90は前述の通りアップデート版が登場する。ボルボはその両輪でハイエンド層にアピールする方針に転換したわけだが、どちらを買うユーザーにとっても、いったいこのブランドはどちらを本命としているのかと、判断しにくくなることは間違いない。
試乗を経て言えるのは、やはりEX90のほうがすべてがゼロベースで開発されているだけに今のボルボをしっかり味わえるということ。もちろん、BEVでも不自由のない使用環境ならば、の話であり、誰にでも等しくお勧めと言えないのがもどかしい。 EX90の日本上陸予定は、現時点では2025年後半だという。よってしばらく待たされることになるが、それまでに電動化を取り巻く状況がどんな風に変化しているかも気がかりと言えるかもしれない。
島下 泰久 :モータージャーナリスト