「18歳選挙権」法案成立へ どんな効果や課題がある?
そもそも一致させる必要はない?
選挙権年齢と成人年齢との関係については、総務省の見解は「民法の成人年齢や、少年法の適用対象年齢と一致することが適当だ。主要国(G8)では原則として一致している」というものです。一方、法務省の見解は「公選法引き下げを民法より先行させた他国の例はあり、必ずしも一致させる必要はない」で、政府内でも一致していないのが現状です。そのため、公選法改正案では付則第11条で「民法の成年年齢等の引下げに関する検討」(※注)が織り込まれました。 「政府でもまだ議論を尽くしていない問題が少年法等の民法との均衡ですので、付則で定めているとおり、今後議論していきます」(衆議院法制局基本法制課) 選挙権年齢と成人年齢をまとめて規定し、民法改正や少年法改正も同時に、というのは現実的に見て難しいでしょう。物事を変える時は「できることを一個ずつ」というやり方が穏当です。
若年層の政治参加が増える?
少子高齢化が進み、将来を担う世代の給付や負担増が進む中、若い世代が政治に関心を持つことの重要性は高まっているといわれています。選挙で投票することは民主主義の基本ですから、年齢を引き下げることで10代のうちから政治や社会への関心を持つ若者が増えることはマイナスとはいえないでしょう。 しかし、総務省によると2014年に行われた第46回衆議院議員総選挙での20代の投票率は37.89%、30代が50.10%と全体の59.32%を下回っています。全体的な投票率も減少傾向にある中で選挙権年齢の引き下げで若年有権者数が増えたとしても、投票率が低迷のままでは政治参加が進んだとはいえません。選挙権年齢とともに投票率を上げるための措置も同時に考えていきたいものです。 (※注)…『国は、国民投票の投票権を有する者の年齢及び選挙権を有する者の年齢が18歳以上とされたことを踏まえ、選挙の公正その他の観点における18歳以上20歳未満の者と20歳以上の者との均衡等を勘案しつつ、民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする旨の規定を設ける』(公職選挙法等の一部を改正する法律案 付則第11条)