アングロとBHPの攻防、同じビジョン巡るCEO2人の争いに
(ブルームバーグ): アングロ・アメリカンは、同社に買収を仕掛けているBHPグループのビジョンに共鳴するような生き残り計画を打ち出している。世界最大級の鉱山会社である両社のトップは今、株主たちに自分こそがその仕事の適任者だと承服させるための戦いを繰り広げている。
アングロのダンカン・ワンブラッド最高経営責任者(CEO)とBHPのマイク・ヘンリーCEOは14日、それぞれ表舞台に出て、両社の大型買収計画が脚光を浴びることになった。ワンブラッド氏は投資家に自身の抜本的な再建計画を示した。その後、ヘンリー氏は米フロリダ州マイアミで開かれた会議でBHPによる買収提案について初めて公の場で発言した。
ワンブラッド氏はこの日のインタビューで、「この戦略を実現するためにBHPはまったく必要ない」と語った。
BHPは、アングロが鉄鉱石とプラチナを生産する南アフリカ共和国の上場2社を分離した後に、残りの資産を取得することを望んでいる。アングロもまた、南アのプラチナ生産部門アングロ・アメリカン・プラチナム(アムプラッツ)を分離し、ダイヤモンド採掘から撤退し、石炭事業を売却する計画だ。両CEO共、銅は虎の子の資産だと考えている。
ワンブラッド氏がプレゼンテーションを行った数時間後、BHPのヘンリー氏は同じ会議で、アングロの「株主は、どちらの計画が最大の価値を生み出すか、早々に決断しなければならない」と語った。
2020年から現職のヘンリー氏は、一連の抜本的な改革を実施し、自分のイメージを構築する時間があった。同氏がワンブラッド氏より強力な企業のトップを引き継いだのも事実だ。価格低迷でアングロの重しとなったプラチナやダイヤモンドといった商品へのエクスポージャーもない。ただ、暴落する前のニッケルに賭けるなどヘンリー氏にも失策はあった。
対照的に、ワンブラッド氏は厳しいスタートを切った。当時、アングロは高騰する商品価格に支えられて好調に推移していたが、同社の主要市場の一部は急速に悪化し、基盤となる一部事業で欠陥が露呈した。そのため、ワンブラッド氏は最終的に事業の抜本的な見直しに着手することになった。