ソニー・日立・パナソニック…電機8社の通期見通し、本業堅調も懸念される米リスク
電機大手8社の2025年3月期連結業績予想が14日までに出そろい、本業の堅調さなどを受け、ソニーグループが売上高、日立製作所が売上高と調整後営業利益をそれぞれ上方修正した。一方、富士通は早期退職金割り増しの影響で営業利益を下方修正した。下期(10月―25年3月)は国内外での電力需要増加や旺盛なデジタル変革(DX)投資の継続で各社の業績伸長が期待されるが、米大統領選を受けて米中貿易摩擦再燃など地政学リスクの高まりも懸念材料だ。 【一覧表】電機メーカー8社の業績詳細 ソニーGは売上高を前回予想から1000億円上方修正。ゲーム分野の販売増などが寄与した。ただ、画像センサー分野はモバイル機器向けセンサーの販売数量減などで下方修正した。十時裕樹社長は大統領選の結果について「米国が世界経済や地政学に及ぼす影響は大きい。事実をしっかり分析し、将来起きることを予見したい」とした上で「どの国で製造して出荷するかや価格転嫁のやり方を整理したい」とした。 日立はデータセンター(DC)向け送配電事業などが欧米で好調だったことや国内でのデジタル投資増加などを背景に上方修正。日立傘下で送配電部門の日立エナジーのアンドレアス・シーレンベック最高経営責任者(CEO)は「(電力会社などの送配電網投資は)10年、20年と続く」と強気の見方を示す。 パナソニックホールディングス(HD)は通期予想を据え置いた。24年4―9月期は溶接機・半導体実装機や生成人工知能(AI)サーバー向けの部材などが貢献し、増収営業増益だった。 三菱電機も通期予想は据え置き。工場自動化(FA)事業は前回予想より下方修正したものの、広範な電力需要の増加を受け、社会、電力システム事業は上方修正した。 富士通の24年4―9月期は調整後営業利益が過去最高だった。円安でハードウエアが苦戦したが、「主力のサービス事業は内需を中心に力強く伸長した」(磯部武司副社長)。 NECの4―9月期は営業増益。ITサービスは旺盛な国内のDX需要で受注環境は好調。社会インフラはテレコムサービスの費用効率化や好調な航空宇宙・防衛をテコに手堅く推移した。 シャープの4―9月期は、営業損益が4億円の黒字(前年同期は58億円の赤字)に転換。液晶パネル事業などの構造改革で経費が減り、複合機やパソコンの販売が好調だったことなどが要因となる。 一方、東芝が14日に発表した4―9月期は当期損益が1163億円の黒字(前年同期は521億円の赤字)だった。送配電やDC向けハードディスクドライブ(HDD)事業などが好調だったほか、持ち分法適用の半導体大手のキオクシアHDの業績改善が寄与した。営業利益は前年同期比3・2倍の705億円と大幅に改善した。 池谷光司副社長は市況や為替などの外部要因だけでなく、「価格転嫁や不採算案件の見直しなど自助努力の成果だ」と強調する。非上場化で経営再建中のため、25年3月期業績予想は非公表。