日本で販売予定はないのに異例の試乗会、中国・吉利汽車が自慢するHEV技術の現在地は
ジーリーとBYD、熱効率世界一でバトル?
ジーリーと同じくハイブリッド技術に力を入れているのが、日本でも2023年から乗用車を販売している「BYD(比亜迪)」だ。同社は先日、熱効率46.06%を達成した新エンジンを主軸とする第5世代PHEVシステムを市場投入した。燃費はリッターあたり34.48キロメートルで、ガソリンと電気を総合した航続距離は2100キロメートルだという。このシステムを搭載するセダン「秦L」は9.98万元(約217万円)から13.98万元(約304万円)という破格の安さで注目を集め、発売後3日間で5000台が納車されたそうだ。 BYDはこの新たなエンジンが世界で最も熱効率に優れていると主張するが、ジーリーは中国のSNS「ウェイボー」でこれに真っ向から反論した。ジーリーはBYDよりも0.04ポイント高い46.1%を達成したとするが、このエンジンを搭載した車はまだ市販されていない。BYDはこの点を突き、量産して市場へ投入しなければ意味はないと反論した。BYDは開発中のエンジンで熱効率46.5%を達成したという証明書も公開してみせた。 ただ、熱効率でわずかに上回ったところで車自体は劇的に変化しないし、むしろ車の本質である「使い勝手」や「乗り心地」、そして「長く乗れる安心感」を軽視している。中国の自家用車が普及して日が浅く、消費者の車選びには未熟な側面もある。中国の消費者は今後、加速性能やエンジンの熱効率の数値など目に見えて評価しやすい部分ではなく、実際に毎日乗る上で重要となる「本質的な部分」を見極めて、車を買うべきだと思う。 (文:中国車研究家 加藤ヒロト)