南麻布「深坂」は、町寿司以上高級店未満の使える寿司屋だ
ちゃんとしてるけど気軽。使い勝手のいい寿司屋が南麻布に誕生した。 【写真を見る】そのほかの寿司と料理をチェック!
寿司とツマミと酒
「深坂」は3月27日、東京・南麻布にオープンした寿司店だ。店主は深坂勇輝で、若干28歳の気鋭の職人だ。銀座一丁目「鮨 たかはし」、新富町「鮨 はしもと」での修業を経て、恵比寿「創和堂」を立ち上げメンバーの一人でもある。ソムリエとして脇を固めるのは城戸美貴子。渋谷「酒井商会」でビバレッジマネージャーを務めてきたソムリエで、ヴァンナチュールから日本酒まで酒飲みの期待に応えるラインアップをおさえる。 現時点では17時から“おまかせ”が中心。21時からはアラカルトを提供するスタイルだ。「一方的な劇場型ではなく、お客さんとカウンターを通じてコミュニケーションしたかったんです」と店主はいう。 その意思を反映してか、アラカルトの時間にメニューは用意されていない。オーダーがあれば、その日にある食材を客に伝え、好みに合わせた料理を提案する。当然、内容は仕入れによって日々変わる。 「ツマミといえど、しっかり一品料理として出します。素材そのまま、魚も刺身で出す、などもしません。うちでは酒と料理の比重が半々なので、飲んで味わってほしいからです。そのあたりは創和堂での経験が影響しているかもしれません。目指しているのは肩肘張らず、でもきちんと日本料理の味が楽しめる店。いずれはお土産用の巻物もやりたいし、リクエストがあればホームパーティで出す手巻き寿司のサポートも考えています。ただし、別格のクオリティで。お客さんのわがままにとことん応える店でありたいなと思っています」 カウンターの向こう側には火口があり、その脇には蒸し器も備えてある。客のわがままに応える体制は万全だ。「深坂」は、高級な町寿司ではなく、マイ寿司屋と評したい。自分の身の丈で楽しめるマイ寿司屋は、ハイエンド食材で贅をつくすよりも、日常をアップデートしたい人に寄り添う。店の使い方が学べ、寿司との距離が身につく「深坂」は、寿司初心者はもちろん寿司好きの琴線にも触れる稀有な店だ。 ■深坂勇輝 学生時代から銀座一丁目「鮨たかはし」でバイトをし、寿司職人の道に開眼。調理専門学校を卒業後、新富町「鮨はしもと」で3年修業し、「酒井商会」、「創和堂」の立ち上げを経て、独立。 ■城戸美貴子 アパレル勤務を経て、オーストラリアで留学。2018年、酒井商会に入社。ワインのセレクトのほか、ビバレッジマネージャーを務める。2024年、独立。 ■深坂 住:東京都港区南麻布2-7-23 マーキュリー南麻布10階 TEL:080-7596-8944 営:17:00~24:00 休:月
文と編集、撮影:岩田桂視(GQ)