「トヨタよ、お前もか!」相次ぐ不正、豊田章男会長ら「ルール見直し」提起の必然
また、ダイハツのケースのように全車種の出荷停止という極端な事態ではないが、販売店サイドから「売れ筋のクルマがなくてどうする」という不満の声も上がっている。生産停止で、部品会社や販売会社など供給網全体に少なからず影響が出ることになる。 2024年3月期の連結業績で営業利益が日本初の5兆円超えとなった国を代表する企業であるトヨタにまで広がった今回の「認証不正」の話題は、やはり最近のネット上でも持ちきりとなっているそうだ。「トヨタもか!」との批判もある一方、「国交省の認証制度が古すぎる」との書き込みも乱立しているようだ。 実際、豊田会長も今回の会見で、「この場で言うべきことではないかも知れないが」と前置きをしながら、「現行の認証制度の中には非常に曖昧で属人的な技能に頼るケースも多い。車がどんどん新しいものに変化し、新しい仕事も付加されている。整理整頓することも(国と)一緒にやっていきたい。議論するきっかけになってほしい」と呼びかけた。 ホンダの三部社長は「悪意や故意ではなく、都合いのいい解釈によるコンプライアンスの認識の甘さがあった」と釈明。マツダの毛籠社長も「法令に則したかどうかを内部で検証できれば未然に防げたが十分でなかった」と述べ、反省しつつチェック体制やガバナンス体制の再整備を進めていくことを強調した。
本来、「世界の自動車品質をリードする日本車」の体制づくりは、官民一体で進めてきたはずだが、ここ10年近く自動車の不正問題が連発している。 16年の三菱自動車の燃費データ改ざんを皮切りに、同年のスズキの燃費不正測定、17年の日産自動車とスバルの完成検査不正、18年にはスバル、日産、スズキ、マツダ、ヤマハ発が排ガス・燃費で不適切検査、22年に日野自が燃費・排ガスの試験不正、23年にダイハツが衝突試験不正、豊田自動織機がエンジン不正と続いた。今回の5社の不正で、トヨタを筆頭に日本車メーカーほぼ全てで不正行為が明るみに出たということになる。 もちろん、品質不正と言っても悪質性の大小はさまざまだし、現場の担当はより高いハードルを自ら課して品質を担保しようとしたケースもあるようだ。だが、法令順守は絶対であり、ルールは守らなければならない。 そもそも、一連の不正につながった型式指定制度とは、1951年に成立した道路運送車両法により定められた自動車の大量生産と安全性を両立するための仕組みで、70年以上続いてきたものだ。型式指定の取得にはエンジンや安全装置など47項目の基準をクリアする必要がある。日本独自の4項目を除く43項目は国連の協定で定められた国際基準である。