子どもたちにスポーツを心から楽しんでもらいたい。「監督が怒ってはいけない大会」代表・益子直美さんの想い
現役アスリートと共に輪を広げていきたい
――活動を通してうれしかった出来事などはありますか。 北川:小学生の頃にこの大会に参加していた子どもたちが、高校生や大学生になってもバレーボールを続けている姿を見ると、やはりうれしいですよね。 この大会のことが楽しい思い出になっていて、それでバレーボールを続けられた、なんて言ってくれる子もいるんです。スポーツが「嫌なもの」にならずに済んでいるのなら、私たちの願い通りです。 益子:そもそもスポーツというのは、誰かにやらされるものではないですからね。子どもたちが自分の意思で飛び込んで、楽しみながら取り組むものです。監督や保護者の思うような人生を歩む必要なんかない。自分らしく楽しんでもらいたいです。 ――「監督が怒ってはいけない大会」の目標を聞かせてください。 益子:私たちが活動をしなくて済むことですね。それはつまり、スポーツ現場からハラスメントがなくなるということ。10年前に始めた当初は「10年あれば、スポーツ現場も変わっているはず」と思っていました。でも、まだまだです。 ただ、2年前に「HEROs AWARD」を受賞したこともあって、もう少し頑張れるなと思いました。おかげさまで他のスポーツの分野でも独自に「監督が怒ってはいけない大会」を開催してくれる人たちが増えてきています。そうやってスポーツ現場のハラスメントを無くすために行動する人たちが増えてくれたらありがたいです。 北川:最終的には後継者をつくっていきたいですよね。「監督が怒ってはいけない大会」ってネガティブな響きを持つ名称ですけど、子どもたちが楽しんで、監督は学びを得られる場所だということを広めていく後継者が出てきてほしい。 これまで益子さんと妻と私のたった3人でやってきました。でも、そろそろ仲間がほしい。それが直近の目標です。 益子:それこそ現役のアスリートが興味を持ってくれるとうれしいですね。打ち込むものがスポーツだけという状況は、やはりつらいんです。でも、この活動をひとつの社会貢献として捉えてもらって、現役のスポーツと同様に打ち込んでもらえると、メンタル的にも安心材料になるのではないかと思います。