冬の味覚 コレ食べて大丈夫?「カニが黒い」「ローストチキンの骨まわりが赤い」原因は?専門家が解説
気温がぐっと下がり、鍋料理が恋しい季節になってきました。そんな冬の味覚といえば、カニ! なのですが、いざ食べようとしたら黒くなっていた……なんて経験はありませんか? 【写真】えっ、なんで!? 身の方まで黒くなった残念なカニ 冬ならではの食材について、組合員からのさまざまな問い合わせに対応している「コープこうべ商品検査センター」の担当者に詳しく話を聞きました。 ――今回の疑問は、「ズワイガニが黒くなっているが腐っているのでは?」です。カニといえば、この時期定番の食材ですよね。せっかく楽しみにしていたカニが黒くなっていた……。これはショックですよね。 【担当者】 高級食材なだけにショックは大きいですよね。これは「黒変」と呼ばれる現象で、カニの肉に含まれているアミノ酸が酸化してメラニン色素が作られてしまうことで発生します。 ――メラニンといえば、日焼けした際に黒くなる原因の“あれ”ですか? 【担当者】 そうです。メラニン色素はまさに黒い色素なのですが、カニもメラニン色素によって黒くなってしまうんです。 メラニン色素が作られる原因は酵素にあります。一般的に酵素は35~40度くらいが最適といわれており、60~70度あたりで失活、つまり働かなくなります。そのため、カニの黒変を防止したい場合は酵素を働かなくさせてしまえばいいんです。 ――ということは、解凍の仕方や保存方法で対策ができるということでしょうか? 【担当者】 まさにその通りで、購入してからボイルするまでの保管方法に要注意です。常温での放置はもちろんですが、冷蔵庫で保管する際にも注意が必要です。冷蔵庫内の温度では酵素は活性化しはじめるので、1日で黒くなってしまうことがあります。そのため、保管は冷凍庫でするようにしてください。 解凍時は自然解凍するのではなく、流水で一気に解凍することが大切です。そして、解凍したらすぐに食べるようにしてください。カニは水揚げされてからわずか3時間程度で黒変する場合もあり、それと同様に、解凍から数時間で黒変することがあるのです。食べきれない場合は、ボイルしておくことで黒変を防げます。 ――すぐに食べない場合の保管は冷凍庫で、解凍したらすぐに食べる。これが大切ですね。ところで、黒くなってしまったカニは食べることはできるのでしょうか? 【担当者】 メラニン自体に毒性はありませんし腐っているわけではありませんので、食べても問題はありません。見た目が悪いので気持ちが暗くなりますが、健康上は問題ありません。 ――健康上は問題ないということですね。安心しました。続いて、クリスマスの定番メニューであるローストチキンについても教えてください。 カニの黒変と同じように、ローストチキンでも「色が気になる」という問い合わせが来るそうですね。 【担当者】 その通りです。「十分に加熱したはずのローストチキンの骨の周りの肉が赤くなっている」という内容です。生焼けなのかなと不安に感じる人もいらっしゃるかと思いますが、じつはこれ、生焼けではないんです。 ――骨の中にある赤い液体が骨の表面にでてきて赤くなる、ということでしたよね? 【担当者】 鶏もも肉を加熱すると、赤色をしている骨髄液(こつずいえき)が骨の表面の穴からしみだして、骨の表面に沿って鶏もも肉の内部に溜まります。本来、骨髄液中の赤い色素は酸素に触れることでかっ色になるのですが、骨の表面に出てきた骨髄液は肉に覆われていて酸素に触れることがないため、赤い色素がそのまま残ってしまうんです。 ――赤色の正体は骨髄液でしたが、食べても問題ないんですよね? 【担当者】 赤く見えているだけで十分に加熱されているので、食べても問題ありません。安心して食べてください。 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
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