前理事長が性暴力やセクハラで損賠判決の社会福祉法人、理事長が辞任へ「未然防止できなかった」
障害者の文化芸術活動を支援する社会福祉法人「グロー」(滋賀県近江八幡市)と前理事長に対し、前理事長からの性暴力やセクハラ被害を訴えた元職員の女性らへの損害賠償を命じた東京地裁判決が一部確定したことを受け、グローの牛谷正人理事長(64)らが28日、滋賀県庁で記者会見した。牛谷氏は原告らに謝罪するとともに「すべての役職員が互いを大事にする職場づくりを進める」と表明。理事長を辞任する考えを示した。 牛谷氏は、訴訟で前理事長の性加害やセクハラが認定されことについて「自覚と責任を欠いた、断じて許されない行為」だったと強調。法人に安全配慮義務違反が認められた点は「未然防止できなかったことを重く受け止める」とした。 今後、役員へのハラスメント講習の充実を図り、弁護士や大学教授らによる外部評価組織をつくって対策を強化する方針を示した。役員体制の見直しや内部監査の充実も図るという。原告の元職員女性には近日中に会って直接謝罪する予定だといい、「(被害を)防止できなかったこと、長期間大変苦しい思いをさせたことを謝罪したい」と語った。 牛谷氏はグローが発足した2014年以降、提訴された後の20年12月に前理事長が理事長を辞任するまで副理事長だった。「私の責任は重い。時期は未定だが、対応をした上で理事長を辞する」と述べた。 東京地裁は今年10月24日の判決で、前理事長が元職員らの胸や下半身を触ったなどと認定。グローには安全配慮義務違反を認めて元職員の女性に440万円を、前理事長には別法人の女性に220万円をそれぞれ賠償するよう命じた。