服は中古、冬の暖房はこたつだけ…ひとり親家庭の学生はぜいたく厳禁 終わらぬ物価高騰…奨学金で学ぶ20歳が政治に願うのは
「全ての物のランクを下げる」
「やりたいことにお金を使えるよう、我慢して、全ての物のランクを一つずつ下げています」 【表】記事に登場する大学生の1ヶ月の家計簿
服は中古、勉強するときは卓上電球
長野県上田市の1Kのアパートで1人暮らしをしている長野大2年の青木優大(ゆうだい)さん(20)は節約を続けている。欲しい洋服がある時は中古品を扱う店で似ている服を探す。夜に勉強する時は部屋の電気を消し、卓上電球を使用。冬の暖房はこたつのみ。自室は底冷えするので、カーペットを2枚敷き、上着を着込む。
どんぶりご飯でおなか膨らませる
食費も節約。価格帯が安いスーパーに行き、見た目は気にせずに安い商品を選ぶ。「食べれば一緒」と考えるようにしている。自炊の際、おかずの量は少なくし、どんぶりにご飯を盛っておなかを膨らませている。
バイト先の酢飯を冷凍保存
すし店でアルバイトし、酢飯が余った時にもらってきて冷凍保存し、食べている。米が値上がりする中、米を買う頻度を減らせるのが助かっている。一方、炒め物に使っていたホウレンソウも高騰。より安価なチンゲンサイを買うようにしている。
ぜいたくが積み重なったら…
体を動かすのが好き。本当はジムに通いたいが、諦めている。友人とラーメンを食べに行く時も大盛りを食べたいけれど、我慢。「ちょっとしたぜいたくが積み重なったら高い」。長期休みに友人と旅行に行くお金をためるためだ。「やりたいことが三つあれば二つを我慢して一つにする。その一つもぜいたくはしない」
病死した父から「家族を頼むぞ」
青木さんは静岡県出身。高校1年生の頃に父親を病気で亡くした。父親が残した手紙に「家族を頼むぞ」と書かれていた。自分に何ができるのか―。「まず目の前のことを頑張ろう」と、苦手な英語の勉強に力を入れた。次第に得意科目になり、勉強が楽しくなった。大学でも勉強をしたいと進学を決意した。
奨学金の一部には手を付けず
実家の家計は母親が働いて支えている。携帯電話代は母親に支払ってもらっているが、高校生の妹にもお金が必要で、仕送りはない。給付型奨学金と、貸与型奨学金を両方受け取っている。この中から、減免された学費年10万4200円を支払う。ただ、貸与型奨学金は将来に返済が必要。もしもの時に備えて受け取ってはいるが、なるべく手を付けないようにしている。