服は中古、冬の暖房はこたつだけ…ひとり親家庭の学生はぜいたく厳禁 終わらぬ物価高騰…奨学金で学ぶ20歳が政治に願うのは
奨学金団体で活動
奨学金を手がける一般財団法人「あしなが育英会」に関連した学生団体「あしなが学生募金事務局」で、長野ブロックのマネジャーを務める。親を亡くしたり、親に障害があったりする子どもに対する募金を街頭で呼びかける活動などをしている。
みんなが大学に進学しやすい制度を
青木さん自身は奨学金を受けて大学に進学できた。だが、貧困家庭の子どもが進学を諦めるケースもある。その場合、大人になって大卒者より低い収入で働くため、家庭を持っても貧困になりやすいとされる。「大学を出ていないと就職先が絞られる社会だからこそ、みんなが大学に進学しやすい制度を作らないとだめ」と青木さん。大学の学費を安くする、学生寮がない大学の学生に家賃補助をするといった進学の障壁を下げる政策を求めている。
物価高、学生生活に影
近年の物価高騰は、学生生活にも影を落としている。全国大学生活協同組合連合会(東京)が2023年に行った「学生生活実態調査」によると、下宿生の食費、住居費、交通費が前年より増え、教養娯楽費などその他の支出が減少。食費が支出に占める割合は前年比0・8ポイント増えた。自宅生は小遣いが減ってアルバイト収入が増加。食費の支出も増えている。
奨学生の家庭は物価上昇前から困窮
また、親を亡くした子どもたちなどの就学を支援するあしなが育英会(同)が今年7月に奨学生の保護者に行ったアンケートによると、85・5%は、昨年同時期と比較して収入が増えていないと回答。奨学生の家庭は物価上昇前から困窮していることもあり、94・2%は収入が物価上昇分をカバーできないと回答した。
「家族全員痩せた」「貧血で倒れた」健康悪化も
「昨年以上に物価上昇の影響を感じるか」の質問には計99・6%が「とても感じる」または「感じる」と答えた。一番節約している費用は食費との回答が52・8%を占めた。自由記述では、食事の量を減らしたため「家族全員痩せてきた」「貧血で倒れた」といった回答もあった。調査を担当した島田北斗さん(31)は「物価高が(奨学生の家庭の)健康状態の悪化も招いている」と分析している。