“市販薬”による「オーバードーズ」経験のある若者が急増…その共通点とは?専門家が解決
◆オーバードーズ経験のある若者の共通点
オーバードーズをしている若者のなかには、こうしたリスクを理解していない人もいますが、なかには“知っているけれどやめられない”“やらずにはいられない”といった若者がいるのも事実です。 オーバードーズを繰り返してしまう要因の1つには“孤立・孤独”があるとも言われています。「オーバードーズの経験のある高校生の特徴」という調査結果の一部を以下に記載します。 ・性別は男性より女性の割合が多い ・睡眠時間が短い ・朝食を食べない頻度が高い ・インターネットの使用時間が長い ・学校が楽しくない ・学校で親しく遊べる友人や相談できる友人がいない ・親に相談できない ・大人不在で過ごす時間が長い ・家族との夕食頻度が少ない ・コロナ禍による自粛生活に対するストレスが高い この調査結果に、野村さんは「オーバードーズ経験のある高校生は、客観的にみて“家族や地域社会との交流が著しく乏しい状態”という共通項があることがわかります」と解説します。 一部のかぜ薬や咳止め薬、解熱鎮痛薬は、決められた量を超えて摂取すると覚醒作用が生じて、“気持ちが良くなる”“パフォーマンスが上がる”“気分が変わる”といった精神状態をもたらすことがあります。オーバードーズをする若者は、そうした効果を求めて乱用を繰り返すのですが、その背景には、“ひどい精神状態から解放されたい”“死にたい”“どれほど絶望的だったかを示したい”“誰かに本当に愛されているのかを知りたい”などといった理由もあるようです。
◆相談支援につながることが問題解決の第一歩
オーバードーズをやめられずに苦しむ人のなかには、医療機関にかかり、自助グループ(※)にも通って状況が好転したケースもあります。 ※自助グループ……同じ問題を抱える人同士が自発的に集まり、問題をわかちあい、支え合うグループのこと。 周りに信頼できる大人や友人がいたとしても、身近な人だからこそ話しづらいこともあります。そんなときは、まず専門家に話を聞いてもらいましょう。野村さんは「『相談しても問題が解決するわけじゃない』『オーバードーズをやめろと言われるだけ』と思われるかもしれませんが、相談窓口の役割はオーバードーズをやめさせることではありません。話を聞き、助けになることです」と声を大にします。 もし、家族や友達がオーバードーズをしていることに気付いたら、周りの人は「何か悩んでる?」「良かったら話を聞かせて」などと声をかけ、話に耳を傾けることが重要です。そのうえで、何をしてあげたらいいか分からないときは、相談窓口に連絡しましょう。相談窓口では、オーバードーズを繰り返す我が子に悩む家族からの相談にも対応しています。家族が相談支援につながることが、問題解決の第一歩になります。 そして、悩みに応じたさまざまな相談窓口が設置されています。例えば、つらい気持ち、オーバードーズをやめたくてもやめられないときは「全国の精神保健福祉センター」、“つらい”“死んでしまいたい”などと思い悩んでいたら、電話やSNSで話を聞いてくれる「まもろうよ こころ」、孤独・孤立で悩まれている方は、孤独・孤立対策支援「あなたはひとりじゃない」などがあります。 なお、これらの一覧は厚生労働省のホームページ内にあるオーバードーズのページに載っています。 最後に野村さんは、「薬局やドラッグストアでは、若者が一部の医薬品を購入する際、氏名や年齢を確認したり、数量を制限するなどの措置を講じていますが、それだけではオーバードーズという危険な行為を防ぐことはできません。もし、オーバードーズをしている人がいたら声をかけて話を聞き、必要な場合は専門の窓口につないでください。そして、いま生きづらい思いをしている方は、その気持ちに飲み込まれず、信頼できる人に頼ってください。身近な人に話すのが難しければ、専門の相談窓口に相談してください。あなたが話してくれるのを待っています」と呼びかけました。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「オーバードーズ」について復習、2人が特に注目したポイントをピックアップして発表します。まず村上は“1人で抱え込まず相談してね”とポイントを挙げ、「相談することは難しいかもしれないけど、たくさんの方がサポートしてくれるので、思い切って相談してほしいなと思います」と語ります。 続いて、杉浦は“オーバードーズ 相談窓口 いろいろあります”とし、「状況によって相談するところも変わってくると思うので“そういうところもあるよ”ということを知ってもらいたいです」とコメントしました。 (TOKYO FM「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」9月15日(日)放送より)