“魔法の棒”がバイクの挙動を穏やかに!「パフォーマンスダンパー」が旅の疲れも軽減!?
ヤマハ以外のユーザーにも、安定性アップの効果を!
バイク用のパフォーマンスダンパーは、ヤマハ車用の純正アクセサリーパーツはヤマハとワイズギアがときに協力しながら、ヤマハ車用以外のアフターマーケットパーツはワイズギアがアクティブにダンパーを供給し、基本的な技術データを共有したうえでアクティブが製品開発している。アクティブにヤマハ車用以外のパフォーマンスダンパー開発を託すことになった理由について、ワイズギア開発部の鈴木洋平さんは、「この素晴らしい技術を、ヤマハ車以外のオーナーさんにも体験してもらい、みんなでもっとバイクライフを楽しんでいただきたいという想いがありました」と語る。 また、同じくワイズギア開発部の森斗志輝さんは、「パフォーマンスダンパーは、ステーを介してフレームに装着しますが、ライディング時に足などと干渉せず、ダンパーの効果を発揮できる位置を選ぶことはもちろん、カッコよく見えることにもこだわって装着位置を検討しています」と話す。「パフォーマンスダンパーの本体は、長さこそ同じですが、減衰力設定が異なる数種類があり、ステーの板厚により特性も変わるので、開発時はどうバランスさせるかが難題」とのことだ。 ちなみに、これまでヤマハやワイズギアに届いたユーザーからの意見として、「パフォーマンスダンパーを装着したら、燃費がちょっと悪くなった」というものがあるらしい。当然、このダンパーはエンジン性能になんらかの影響を与えるものではなく、重量増といってもせいぜい1kg程度の話で、燃費に悪影響を及ぼすとは思えない。そこで開発陣は、「振動軽減や安定性の向上で乗りやすくなったことで、スロットル開度が自然と大きくなった」という仮説を立てている。燃費悪化は、それだけ効果がある証拠なのだ!
ボルトのカラーひとつで効果が変わっちゃう!?
ヤマハ以外の車種に適合するパフォーマンスダンパーは、現在のところアクティブが開発を手がけている(アクティブ以外のブランドで市販される製品は、アクティブとの共同開発)。ワイズギアがアクティブに白羽の矢を立てた理由としては、自社オリジナルブランドが多彩で開発体制が充実していることに加えて、構造が似ているサスペンションの部門もあることなどがあるようだ。初期段階で、開発に必要となるデータや技術をワイズギアとアクティブで共有。以後アクティブが市販する製品については、使用するダンパーの減衰力やステーの装着位置と形状など、仕様はアクティブが決定し、ステーなどを製作している。 アクティブでサスペンション開発部の主任とシニアエンジニアを務める宇田知憲さんは、新たにパフォーマンスダンパーを開発するときの流れを以下のように説明する。 「まずは、知識と経験をベースにフレームにステーを装着する位置を検討。2~3種類の候補をつくり、これを吟味してステーを試作し、このステー形状ならこの減衰力という大まかな予想はできるので、本体を装着してまずは走ってみます。しかしそこからは、トライ&エラーの繰り返し。ステーの厚みや形状、本体の減衰力など、とにかくいろいろ変更しておいしいところを探します。数字ではなく感覚で評価する製品なので、敢えて効果が強すぎくらいのところまで試して、そこから戻して調整するなんてことも。試作と実走テストを繰り返すため、1機種用を仕上げるのに少なくとも2ヵ月以上かかることも」 ちなみに、ステーをフレームに装着する際には、ボルトにカラーを組み合わせているが、「カラーの素材だけでも、乗り味に変化が生まれてしまうんです」とのこと。例えばアルミ合金の場合、素材が持つ振動吸収性がスチールやステンレスと比べて高く、ダンパーの効果が薄まってしまうようだ。このような細かい検証の繰り返しにより、アクティブ社内におけるパフォーマンスダンパーに対する知見はさらに高まっている。