多頭飼育崩壊から保護された柴犬 保護メンバーも手を焼く“野生児”は賢い家庭犬へ変身 そして理解ある家に迎えられた
2022年春、多頭飼育崩壊の現場から保護された5歳ほどのメスの柴犬がいました。後に収容された動物愛護センターの職員さんから「アキラ」という男の子のような名前をもらいましたが、その性格もまた男勝り。 【写真】大暴れした後、急におとなしくなりました。なんで? 以前の環境では適切な世話がなされた様子はなく、その行動はまさにTHE・野生児。パワフルで元気いっぱいでした。
部屋に入るなり「敵はいないか」と大暴れ
アキラを引き出すことにしたのが、西東京で保護活動を続けるチーム「いぬとずっと ハッピーアダプション部」。 さっそくメンバーの家に迎え入れまたが、アキラは部屋中を嗅ぎ回りながら大暴れ。次に、棚の中の物と格闘をし始め引っ掻き回し、「この部屋に私の敵はいない」とわかると、憑き物が落ちたかのように突然静止してチョコン。 多くの保護犬のお世話をしてきたメンバーでしたが、こんな行動をとるワンコはアキラが初めてでした。
経験したことがない場面では必死の抵抗
従順な性格のワンコが多い「柴犬」であることに期待し、まずメンバーはアキラとの信頼関係を作ることに努めました。次第に少しずつ聞き分けをしてくれるようになったアキラですが、過去に経験したことがない場面では再び大暴れ。 抱っこしようとすれば「何するの!?」と、体をくねくねさせて脱出。散歩の後で足の裏を拭こうとすれば雄叫び。シャンプーをしようとすれば、メンバーの腕を引っ掻いて必死に抵抗。 難儀に次ぐ難儀を重ねましたが、アキラの将来を思い飼い犬としてのルールを根気強く教え続けました。
「アキラの良いところを伸ばしたい」と里親さん
保護から約1カ月ほどが経過すると、アキラはさまざまな経験に馴れ、大暴れする機会が減りました。本来のアキラは素直でおおらかな性格で、理解が早いお利口さん。きちんとしたしつけや世話さえすれば申し分なく、家庭犬に向いた性格であるように見えました。 そんな矢先、「アキラを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。 THE野生児だった頃から、ここまでの様子をすべて承知した上で、「一緒に生活して良いところをもっと伸ばしてあげたい」と申し出てくれました。 アキラはこの優しい里親希望者さんの家に正式譲渡されました。保護当初に見せた大暴れはなくなり、里親さんに穏やかに寄り添い、いつもニコニコのんびり過ごしているそうです。 最初はメンバーを困らせたアキラですが、短時間で成長し幸せをつかんでくれました。いつまでも笑顔のまま、幸せな犬生を歩み続けてね。 (まいどなニュース特約・松田 義人)
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